2016年10月19日水曜日

霜降の里山

時の移ろいは早いものだ。
ほんの30年前までは岸で洗濯をしたり、野菜を洗ったりしたもので、
湖というのは、地元のものにとってはそれこそ家の一部、生きていく上
での仲間だといってもいいほど親しみのある存在だった。
ところが、人は便利と効率を求めて、家と湖とのあいだに幅の広い舗装
道路を作った。遠浅の砂浜はほかからもってきた土砂で埋められ、岸辺は
コンクリートで固められてしまった。そのことによって、湖と人々の間に
深い溝が出来てしまった。別に工事によって岸辺が何キロも、離れて
しまったわけではない。距離で言うと、たった数10メートルほど湖から
離れただけだ。それなのに、湖岸に住んでいた私たちは、湖が全く手の届かない
ところへ行ってしまったような寂しい気持ちになってしまった。
日常的に体を支配してきた波のさざめきを失った私たちは、不安でさえあった。
人の心のなかに溶け込んだ潤沢な湖は、日常から離れ、人の心根からも
遠くなり、早くも昔の語り草のような存在となった。洗濯や野菜を洗うために
湖に突き出しておかれた「橋板」もほとんど姿を消した。そこで交わされた
会話に代わり今は寄せる波の小さなさざめきのみとなった。

比良の地域でも、この地域の木戸石や守山石の産出とともに山で枯れ木と
なった枝を取り出しそれらを燃料として船で周辺に積みだしていた。
その割り木はお風呂をたくときや生活燃料としてよく使われていた。
何処の家の子たちも、そのころ、釜に割り木を入れる仕事をさせられた。
黄昏のほの暗い庭と、深い紺色をした空、そして、油煙という黒い煤と、
香ばしい割り木の香りをはっきりと覚えているだろう。
このとき、大津の家々は、割り木をまとめて買っていた。毎年秋の終わり
になるころ、何百、いや何千束という割り木を大型トラックに積んで行商
のおやじがもってきたという。
割り木はすべてクヌギやコナラだった。
湖近くの古老は思い出すように眼を閉じ話すのだった。
私もまた、眼を閉じて昔の湊風景を想像してみた。
木の桟橋がいくつも張り出した静かな港に、丸子舟が何艘モ停泊しており、長い
桟橋を人々がせわしなく行き来している。湖岸の際まで続く畑や水田にも人の姿
があり、黄緑色をしたセキショウモがなびく小川が音を立てて湖に流れ込んでいる。
その風景のそこここに、木造りの「にう」が狐色の屋根を光らせている。
採られた割り木は藁で屋根を作ったこの「にう」の中にびっしりと並び、
しばらく乾燥されてから丸子舟であちこちに運ばれた。
湖の周辺の街で子供のころから親しんできた木の木片がこのような形で運ばれていた。
初めて知った心持だった。割り木は、帆を張って揺れる丸子舟に身を任せ、
青く澄んだ湖面を旅していたのだ。だが、そのような雑木林の最盛時代は、
生活の進化で様々な燃料が世に出始めると終わった。しかしながら、その数は
減ったもの、昭和30年代まで割り木の積み出しは行われたという


浜から30分ほど歩けば、旧家が寄り添うように若い杉木立の中に建っている。
そのなかのほそい道は、なかなか風情があっていい。白い土壁の蔵や苔むした石積み、
四方にささやかな水音を残して流れる小川が見える。そのどれもに歴史が感じられる。
道の角ごとにお地蔵さんがあったり、祭壇に花が生けられていたりするのもいい。
生け花は、旧家の庭に生えているものばかりで心が和む。黄色い菊の花が緑の中に
2差しほど見える。これらのあつい信仰もまた、長い歴史の中で確実に
生き続けてきた。
ほおかぶりのお婆さんが腰をかがめながら、野菊とズイキの太い幹を
だきかかえるようにして歩いてきた。ズイキは干していろいろに使える。
細身にまかれた巻き寿司は秋の匂いがして美味しい。
ちらりと彼を見て、そのしわくちゃな顔を緩めながら小藪の先へと消えた。
その道すがらに大きな柿の木があった。紅く熟れた実が青空にちりばめられたように
黒い枝から四方に広がっている。この実も1つの歴史を見せる。
初夏、白黄色のやや地味な4つの花弁が艶やかな緑の葉の中に彩り、
縁先や庭にこぼれ落ちる。日増しに強くなる陽ざしとともに葉が広がり始め、やがて
実がふくらみはじめると葉が黄色へと色づき、一夜、疾風が過ぎ去ると大半の黄色が散り、
あとには赤だけが蒼空を彩る。
野仏に菊の黄色が映え、さらには赤や緑が加わり甘い香りが満ちると、集落は一段と
秋らしくなっていく。

人家の外れの畑で紫苑の花を見つけた。まだ咲いていた、そんな驚きがあった。
薄紫と黄色の可憐な花、細くしなやかな茎とともにたおやかな風を誘う。
幾匹かの蝶が舞っては止まり、翅をゆっくりと開閉させている。黒褐色の地に
紅色と白斑、何ともシックなアカタテハと言う蝶である。この蝶は、夏場は
もっぱら雑木林にこもって樹液ばかり吸っているが、秋になると花の蜜を
もとめて日当たりのよい所に出てくる。翅は新鮮で傷1つ無いので、今日の朝
羽化したのだろう。もう2,3週間もすれば、冷たい北風が吹いてくるというのに、
なんというのんびり屋の蝶なのだろう。そのとき、アカタテハは、親の姿
のままで冬を越して、春になって卵を産み始めるらしい。
栄養ををたくわえて、過酷な季節に挑むこの蝶にとって、今はこの蝶には、
残された最後の時なのでろう。優雅さの中に必死さが放たれていた。

さらに、あぜ道を上っていくと、秋の匂いが漂ってきた。
見ると、数人の農家の人が薄く映える煙の中に見えた。土手を焼いているのだった。
草が焼ける匂いと刈り上げた稲の藁積みの匂いは、体をリラックスせてくれる。
遠い昔無邪気にその日を過ごした安寧の気持ちが湧いてくるからだろうか、
眼を閉じて香ばしい香りを吸い込むと、体の中の緊張感が急に溶けてしまう
ようである。何千年もの遠い昔に森を開き、鍬を振るって田や畑を作ってきた
気の遠くなるような時間と労働の蓄積がそこにある。草の焼ける匂いは、
自然の力に負けぬように頑張ってきた人の汗の匂いと人としての生業の姿を
思い起こさせるのかもしれない。彼の妻も昔街中で落ち葉を焼いているのを
見ながら、その煙りにしばし立ち止まってその匂いを楽しんだそうだ。
赤い炎が土手の上を走り、枯草を黒い炭に変身させ、その上を白い煙がゆっくりと
たちのぼっていく。少し赤みの増した光を浴びて刻々と白さを増す香りの渦は、
大気の中に静かに浸透していく。

紅に燃え始めた空を背に、あぜ道を歩く。夕刻の時が刻まれるにつれて、
土手や刈田の草の茂みから虫の鳴き声が聞こえはじめる。
シリシリシリシリシリ、ササキリの細かい声が闇に沈んでいくと、
今度はジーンジーンという脳の髄にしみるようなウマオイムシの声。
それと同時に、チンチロチンチロチンチロリンというマツムシ、
ガチャガチャというクツワムシ、ルルルルルルルという連続の
カンタンなど、一斉に翅をふるわせはじめる。
秋は虫たちもうれしそうだ。ススキの穂がその音に合すかのようにゆらりと揺れている。

歩きながら昔聞いた童謡が心に流れてきた。
「あれ松虫が 鳴いている ちんちろ ちんちろ ちんちろりん
あれ鈴虫も 鳴き出した  りんりんりんりん りいんりん
秋の夜長を 鳴き通す
ああおもしろい 虫のこえ

きりきりきりきり こおろぎや
がちゃがちゃ がちゃがちゃ くつわ虫
あとから馬おい おいついて
ちょんちょんちょんちょん すいっちょん
秋の夜長を 鳴き通す
ああおもしろい 虫のこえ」

いつの間にか口ずさむ彼がいた。

比良の山並みを仰ぐと、赤や黄色に染まりはじめた落葉樹の森と、深い緑が
色褪せない杉の林をぬうようにして、里まで続いている。山頂にある緑はそこはブナ
の林かもしれない。人里より紅葉が進んでいるに違いないが、まだ多くの緑
が支配している。そこは、雨が山の背をさかいにわかれていく分水嶺であり、
尾根道の東側からの紺青の湖面を見渡せる情景と幾重にも重なる山の頂が遠望
出来る西側の景色とでは、全く趣が違う。天から降り落ちてくる水たちが、
山に沁み込んで森を育み、沢が出来るはじまりの場所出もあり、豊かな湧き水の
源でもある。ここは水を生み、育てる場所でもあるのだ。数は減ったものの、
ホンモロコやビワマス、手長エビが捕れ、9月ごろのホンもロコは「秋モロコ」
と言われ、美味しい。手長エビは料亭でも一品料理として出されたり、添え物として
珍重される。四季を通じた湖魚の味は清涼感を含み、舌の上で踊る。
昭和時代になっても砂浜では地引網の漁がおこなわれ、子供たちの声も響いていたという。

ふと、先日食べた料理グループの作った料理が浮かんできた。
今回は秋の収穫物が満載だった。落花生、カボチャ、ズイキ、アズキ、
ダイズ、シソ、もち米、等々すべて地元産。緑、黄色、褐色様々な彩が
テーブルに並び、野の香りを放っている。目まぐるしく立ち働く料理会の
メンバーの手で、それらが、落花生しょうゆおこわ、カボチャ羊羹、
干しズイキの巻き寿司、鶏つくねバーグ、なかよし豆、シソの実つくだ煮、
ズイキのすみそ和え、カボチャスープ、きゅうりの贅沢煮、に変身する。
さらには前日作ったという自家製パンもあった。特に落花生おこわは
秋の味がじっくりと口の中を支配し、しばしの幸せに包まれた。
その時の櫛を梳いた雲と比良の山並みのまだ深い緑が思い出された

2016年10月8日土曜日

寒露の里山風情

二十四節気「寒露(かんろ)」


今は、寒露(かんろ)のころ、定気法では太陽黄経が195度のときで10月8日ごろ。
期間としての意味もあり、この日から、次の節気の霜降前日までである。
露が冷気によって凍りそうになるころなのだ。雁などの冬鳥が渡ってきて、
菊が咲き始め、こおろぎなどが鳴き始めるころ。「暦便覧」では、
「陰寒の気に合つて露結び凝らんとすれば也」と説明している。
七十二候に言う。
・鴻雁来(こうがんきたる)10月8日頃
雁が渡ってくる頃。清明の時期に北へ帰っていった雁たちが、再びやってくる。
・菊花開(きくのはなひらく)10月13日頃
菊の花が咲き始める頃。旧暦では重陽の節供の時期で菊で長寿を祈願する。
・蟋蟀在戸(きりぎりすとにあり)10月18日頃
戸口で秋の虫が鳴く頃。昔は「こおろぎ」を「きりぎりす」と呼んだそうだ。

日が落ちるのも早くなり、風が冷たくなる頃。夕暮れに聞く虫の声も次第に
色を帯びてくる。チリリリリリリ・・・とヒゲシロスズの声、これは昼間も聞こえた。
リー 、リー 、リーと鈴虫の声、コロコロコロ、コロ、コロ、コロとそれは
エンマコオロギ。チッ、 チリリッと鳴くのはマツムシ。
比良の稜線も赤く描いていたが、すでに黒い薄墨の線となってこの里山も暗闇に
包まれはじめる。夕日に変わり、家々の灯が琵琶湖へと伸びている。
だが、猫我が家の達が一番輝くのがこの季節でもある。
夏の暑さにその精力を抜かれた猫、冬と春の寒さの中で眠り呆けてきた緊張力
の著しく欠けた猫、それぞれ猫としての美しさが発揮できない季節である。
秋は食べ物の美味しさと適温、清清しさの満ちた空気が否が応でも、猫たちに
その輝きを与えるのだ。我が家でも、毛並みが落ち歳を全面に感じさせている
19歳のナナでも身体全体から発する力が若い猫の如き輝きを見せている。

我が家のポーチには、リクラインの椅子がある。肘掛のところのニスは剥げ、
やや疲れきった風貌であるが、我が家の全員が愛する椅子でもある。四季を
感じつつ、二十四節気の音を聞きながらこの10年ほどを過ごしてきた。
そこに座ると二階のベランダと張り出した梅ノ木やさくらんぼの木々から蒼く
澄む空と櫛をすいたような軽やかな雲たち、時には厚く黒々とした雲、飛び交う
小鳥たちが一片の額の絵の様に広がり、そこに集う人を優しく包み込み、休息
と自然の優しさを与えてきた。その揺らすたびに鳴るギコギコという音とともに。

眼前の白い壁が薄く光り始め、橙色を帯び、徐々にその明るさを増し、やがて
純白の光となって周囲を照らし出す。その白さと対比する様に、主人のいる椅子
からは、薄青色の布をかけたかのように空の蒼さが天上に広がっている。
その蒼さを切り取るように四、五枚の枯れ葉が足下に落ちてきた。枯葉の音は
近くの家の金木犀の香りとともに彼を包む。ススキの和毛のような穂先が風に揺らいで
いる。
ふと、2年前、病院で見た雲清の変化を思い出す。ガラス窓の向こうで繰り
広げられる光と雲の協奏は、茜色から金色に変わり、やがて澄んだ青色へとその
世界を変えていった。静寂の中に広がる街の朝の顔がそこにあった。
活気に満ちた世界を繰り広げる前の静けさが街を覆っていた。
今、この椅子からみる情景もそれに似た空気を醸し出している。静けさの中に
ある一抹の希望。希望と言う言葉からは、以前のような心の躍動はないものの、
心は不思議と満たされている。頭の上では、ひつじやうろこ状の雲たちが広がり
始め、やがてその下を灰色の雄牛の如き灰色の雲が二つほど左から右へと
流れ去っていく。俺もあと何年かな、そんな想いが彼の心を過ぎる。

ふと、昨日、刈田の横で見た情景を思い出す。
朝の光が細く光る竹林の隙間からはじけ、刈田の表面をなめるように照らす。
茶色に支配された地面に、橙色の点がいくつも見えていた。柿の実があちこちに
落ちて散らばっていた。何のためらいもない様子で無造作に転がった柿の実
たちは熟れるにはまだ早い青い色のものもあれば、その橙色の中に黒く点描が
見える朽ち行くものもあった。柿の古木は、そんなことを気にもしない様子で、
その大きくくびれた腰回りを冷えた空気と光をうけてただ立っていた。
その踊っているような姿の柿の幹は、緑と白の苔をまとい、やや不細工な姿だ。
この木の年はどれほどなのだろうか、老い行く猫や私と同じような歳を重ねて
きたのであろう。多分、それ以上だ。そしてまた春の光を受けているのかもしれない。
足元の影が少し短くなった。果実の匂いにひかれてやってきたのだろうか、
ハチの羽音が聞こえはじめ、白いまだら模様の蝶の姿が舞っていた。

田んぼは、その一面黄金色から、ところどころ刈り取られたところがあって、
パッチワークのようになっている。それは金色の世界とは違う美しさがある。
刈田には藁が長い竹竿に等間隔に干してあって、それを見るのがまた楽しい。
少し先の刈田からは、薄い紫の煙が風にゆらめいている、この匂いを嗅ぐと
誰もが、秋を感じる。そして、あぜ道を赤く染め、彼岸花の炎のような花のつぼみ
と白い茎が続いている。小ぶりのトンボ、ナツアカネが数匹翅を休めている。
このとんぼは自分が全身真っ赤な色をしていて、よく見逃す。
彼岸花は、稲を刈り取る時期を教えてくれる大切な花だ、と古老が言って
いたのを思い出す。
確かに、あぜ道は赤い線に彩られ、すでに稲毛の消えた横に鮮やかな縞模様を
見せている。線香花火に似たその立ち姿は、秋の風情そのものだ。
華やかさと侘しさが混在している。黄色い胸と黒い体の鳥が、その華やかな色と
ピヨーピヨーという明るく少し甲高い鳴き声で赤みをました楓の木々へと飛んでいく。
キビタキなのだろうか、彼らの季節ももう終わったのかもしれない。



ーーーーーーー
展覧会
雑木林の中は、いろいろな植物たちの晴れの展覧会。赤、青、紫、結実した
作品の数々は、見事というほかはない。
実のなる植物は、どれもそうだが、雑木林のすみずみに均等にちらばっている。
よくこんなにうまく種がこぼれるものだと思っていたら、実は、鳥が運んでいる
のだという。ヒヨドリ、メジロ、ツグミなど、いろいろな鳥がついばんでは
飛び去り、離れたところで小休止して糞をすr。鳥の胃袋を通過して糞と
ともに排泄される種は、不思議と生命力を持っていて、地上に落下すると
勢いよく発芽する。植物たちは、そのことをお見通しで、鳥を呼ぶために
目の覚めるような美しさを披露する。

山は水の塊
山を仰ぐと、まぶしいばかりの紅葉。沢を伝って山の嶺まで上るにはもってこいの
季節だ。赤や黄色に染まった落葉樹の森と、深い緑が色褪せない杉の林を
ぬうようにして、山道は続く。山頂までたどり着けば、そこはブナの森。
今頃は、人里より紅葉が一段と進んでいるに違いない。
くねくねした尾根道は、ふった雨が山の背をさかいにわかれていく分水嶺。
青々とした湖面を見渡せる尾根道の左側と幾重にも重なる山の頂が遠望
出来る右側の景色とでは、全く趣が違う。そこは、天から落ちてくる
水が、山に沁み込んで森を育み、沢が出来る始まりの場所。
青空の下で堂々としている山面をながめていると、「山は水の塊」とだれかが
いったのをふと思い出した。


大切な時間
人家の外れの畑で紫苑の花を見つけた。あわい紫と黄色が、たおやかな風を誘う。
幾匹かの蝶が舞っては止まり、翅をゆっくりと開閉させている。黒褐色の地に
紅色と白斑、何ともシックなアカタテハと言う蝶である。この蝶は、夏場は
もっぱら雑木林にこもって樹液ばかり吸っているが、秋になると花の蜜を
もとめて日当たりのよい所に出てくる。翅は新鮮で傷1つ無いので、今日の朝
羽化したのだろう。もう2,3週間もすれば、冷たい北風が吹いてくるというのに、
なんというのんびり屋の蝶なのだろう。そのとき、アカタテハは、親の姿
のままで冬を越して、春になって卵を産み始めることに気が付いた。
えいようをたくわえて、過酷な季節に挑むこの蝶にとって、今はすごく
大切な時間なのだろう。

香りの渦
あぜ道を上っていくと、秋の匂いがした・見ると、農家の人が土手を焼いている。
草が焼ける匂いは、体をリラックスせてくれる。なぜだかわからないけど、
眼を閉じて香ばしい香りを吸い込むと、体の中の緊張感が急に溶けてしまう
ようである。何千年もの遠い昔に森を開き、鍬を振るって棚田を作ってきた
気の遠くなるような時間と労働。草の焼ける匂いは、自然の力に負けぬように
頑張ってきた人の汗の匂いなのかもしれない。
赤い炎は、土手の上を走り、枯草を炭にして白い煙をたちのぼらせる。
午後の光を浴びて刻々と白さを増す香りの渦は、大気の中に静かに浸透していく。


共存の知恵
彼岸花の炎のような花のつぼみにとまるのは、ナツアカネ。このとんぼは
自分が全身真っ赤な色をしていて、ここがお似合いであることをよく知っている
かのようだ。彼岸花は、稲を刈り取る時期を教えてくれる大切な花だ。
この花の成長にはそつがない。農家の人が土手を草刈りすると、植物たちの
背丈は一時的に低くなる。そんな時を見計らって竹のごとくまっすぐ生えてくるのが、
彼岸花だ。その後数日のあいだに花を咲かせ、ほかの植物たちが背比べに
挑んできたときには、すでに種子を実らせている。
こんなに完璧に農家の人の暮らしと歩調を合わせる植物が、大陸からやってきた
外来種だと聞くと意外な気がしてしまう。きっと彼岸花は、もともと共存の
智慧を授かっている植物なのだろう。土手の向こうから農家の人の笑い声が
聞こえてきた。いよいよ収穫がはじまる。


細い道
旧家のなかのほそい道は、なかなか風情があっていい。土壁の蔵や苔むした石積み、
そのどれもに歴史が感じられる。そういえば、この村は数年前に、稲作を始めてから
千年という節目を祝うお祭りがあったばかり。燻し色に輝く金箔の御神輿は、
あでやかで美しく、はるか昔の物語を今に伝えている。
道の角ごとにお地蔵さんがあったり、祭壇に花が生けられていたりするのもいい。
生け花は、旧家の庭に生えているものばかりで心が和む。これらのあつい信仰
もまた、長い歴史の中で確実に生き続けてきた。
ほおかぶりのお婆さんがこしをかがめながら、野菊をだきかかえて歩いてきた。
野仏に甘い香りが供えられると、村は一段と秋らしくなっていく。

演奏会
黄ばみかけた空を背に、あぜ道を歩く。普通ならそのまま家に帰ろうとする
ところだが、秋の日だけは寄り道をしてしまう。夕刻の時が刻まれるにつれて、
土手や刈田の草の茂みから虫の鳴き声が聞こえてくるからだ。たくさんの才能
豊かな演奏家たちに出会えるのは、一年の内でこの季節だけ。この叢の音色観賞が、
ちょっとした楽しみになっている。
チリチリチリ、ササキリの細かい声が闇に沈んでいくと、今度はジーンジーンという
脳の髄にしみるようなウマオイムシの声。それと同時に、チンチロリンというマツムシ
ガチャガチャというクツワムシ、リリリリリというカンタンなど、待ってましたと
いうように一斉に翅をふるわせはじめる。ススキの穂をそっと見上げると、
小さな黒い影。今日の演奏会はどうやらツユムシからはじまるらしいい。





春の梅ノ木を横目で見ながら冬の寒さから開放された喜びを感じつつ甘い香りに
包まれている主人の姿が多く見られ、猫たちは温かさがその陽射しとともに高まる
昼からは先ずハナコが寝そべり、そこへレトがハナコを追い出しに現れる。
その取り合いは、春から秋へと続く。ライはこの2人にお構いなく好きなときに
現れ、先住の猫たちを追い出し悠然とそこに納まる。ただ、夏は夕暮れ時にしか
その椅子にはだれも現れない。時が進み、空の蒼さと流れる風、さらに近くの
金木犀の甘い香りが庭を支配し始めると、主人とハナコ、レトの取り合いが
始まる。もっとも、最近のハナコは夜遊びが慣れたのか、夜抜け出し、朝
主人が雨戸を明けるとノンビリと椅子の上で御睡眠している。冬、雪の中で
端然とその冷たい空気に抗うかのように椅子は一人そこにいるときが多くなる。
やがて来る春の木々の音とそれに群れるほととぎすなどの鳥たちの合奏の日々
を待ち続けている。しかし、彼のあるべき姿も後数年であろう。無生物である
彼にも寿命はある。彼のそこにいる価値もやがて失われる。主人やチャトが
そうであるように忽然と消え、人々、猫たちの記憶からも消えて行く。

2016年10月7日金曜日

秋の情景

樹齢
朝の光は、土手の隙間からはじけ、刈田の表面をなめるように照らし出す。
ふと見ると、柿の実があちこちに落ちて散らばっている。無造作に転がった
柿の実たちは熟れるには少し早い色をしていて、傷がついたり穴が開いたり
して痛々しい。行儀の悪いカケスの仕業か、それともかぜのいたずらか。
柿の古木は、そんなことを気にもしない様子で、ゆっくりとのぼっていく
太陽の光をうけてただ立っている。
腰をふって踊っているような姿の柿の幹は、こけを宿してごつごつしている。
樹齢は何年だろう。まえに、老婆に尋ねたことがある。その答えは、
自分の小さなころからこの木は、ここで同じ大きさで立っていた、というのである。
となると、おそらくこの古木は、100歳を超えているだろう。
陽が少しづつ高くなり、果実の匂いにひかれてやってきたハチの羽音が聞こえ始める。

刈田
秋の田んぼは、一面黄金色というより、ところどころ刈り取られたところがあって、
パッチワークのようになっているのが一番美しいと思う。刈田には藁が干してあって
それを見るのがまた楽しい。藁は、農家の人によってまとめ方が違う。束ねた
藁を3つに割ってテントのように立てる人もいれば、頭をそろえて規則正しく
あぜ道に並べていく人もいる。ここの田んぼの持ち主は、又兵衛さんだったか、
それとも五平さんだったか。刈田を見ていると、人の顔が浮かんでくるから
面白い。小さい田んぼの味わいは、何といっても藁の匂いとともに農家の人の
個性がうかがえることだ。

展覧会
雑木林の中は、いろいろな植物たちの晴れの展覧会。赤、青、紫、結実した
作品の数々は、見事というほかはない。
実のなる植物は、どれもそうだが、雑木林のすみずみに均等にちらばっている。
よくこんなにうまく種がこぼれるものだと思っていたら、実は、鳥が運んでいる
のだという。ヒヨドリ、メジロ、ツグミなど、いろいろな鳥がついばんでは
飛び去り、離れたところで小休止して糞をすr。鳥の胃袋を通過して糞と
ともに排泄される種は、不思議と生命力を持っていて、地上に落下すると
勢いよく発芽する。植物たちは、そのことをお見通しで、鳥を呼ぶために
目の覚めるような美しさを披露する。

山は水の塊
山を仰ぐと、まぶしいばかりの紅葉。沢を伝って山の嶺まで上るにはもってこいの
季節だ。赤や黄色に染まった落葉樹の森と、深い緑が色褪せない杉の林を
ぬうようにして、山道は続く。山頂までたどり着けば、そこはブナの森。
今頃は、人里より紅葉が一段と進んでいるに違いない。
くねくねした尾根道は、ふった雨が山の背をさかいにわかれていく分水嶺。
青々とした湖面を見渡せる尾根道の左側と幾重にも重なる山の頂が遠望
出来る右側の景色とでは、全く趣が違う。そこは、天から落ちてくる
水が、山に沁み込んで森を育み、沢が出来る始まりの場所。
青空の下で堂々としている山面をながめていると、「山は水の塊」とだれかが
いったのをふと思い出した。


大切な時間
人家の外れの畑で紫苑の花を見つけた。あわい紫と黄色が、たおやかな風を誘う。
幾匹かの蝶が舞っては止まり、翅をゆっくりと開閉させている。黒褐色の地に
紅色と白斑、何ともシックなアカタテハと言う蝶である。この蝶は、夏場は
もっぱら雑木林にこもって樹液ばかり吸っているが、秋になると花の蜜を
もとめて日当たりのよい所に出てくる。翅は新鮮で傷1つ無いので、今日の朝
羽化したのだろう。もう2,3週間もすれば、冷たい北風が吹いてくるというのに、
なんというのんびり屋の蝶なのだろう。そのとき、アカタテハは、親の姿
のままで冬を越して、春になって卵を産み始めることに気が付いた。
えいようをたくわえて、過酷な季節に挑むこの蝶にとって、今はすごく
大切な時間なのだろう。

香りの渦
あぜ道を上っていくと、秋の匂いがした・見ると、農家の人が土手を焼いている。
草が焼ける匂いは、体をリラックスせてくれる。なぜだかわからないけど、
眼を閉じて香ばしい香りを吸い込むと、体の中の緊張感が急に溶けてしまう
ようである。何千年もの遠い昔に森を開き、鍬を振るって棚田を作ってきた
気の遠くなるような時間と労働。草の焼ける匂いは、自然の力に負けぬように
頑張ってきた人の汗の匂いなのかもしれない。
赤い炎は、土手の上を走り、枯草を炭にして白い煙をたちのぼらせる。
午後の光を浴びて刻々と白さを増す香りの渦は、大気の中に静かに浸透していく。


共存の知恵
彼岸花の炎のような花のつぼみにとまるのは、ナツアカネ。このとんぼは
自分が全身真っ赤な色をしていて、ここがお似合いであることをよく知っている
かのようだ。彼岸花は、稲を刈り取る時期を教えてくれる大切な花だ。
この花の成長にはそつがない。農家の人が土手を草刈りすると、植物たちの
背丈は一時的に低くなる。そんな時を見計らって竹のごとくまっすぐ生えてくるのが、
彼岸花だ。その後数日のあいだに花を咲かせ、ほかの植物たちが背比べに
挑んできたときには、すでに種子を実らせている。
こんなに完璧に農家の人の暮らしと歩調を合わせる植物が、大陸からやってきた
外来種だと聞くと意外な気がしてしまう。きっと彼岸花は、もともと共存の
智慧を授かっている植物なのだろう。土手の向こうから農家の人の笑い声が
聞こえてきた。いよいよ収穫がはじまる。


細い道
旧家のなかのほそい道は、なかなか風情があっていい。土壁の蔵や苔むした石積み、
そのどれもに歴史が感じられる。そういえば、この村は数年前に、稲作を始めてから
千年という節目を祝うお祭りがあったばかり。燻し色に輝く金箔の御神輿は、
あでやかで美しく、はるか昔の物語を今に伝えている。
道の角ごとにお地蔵さんがあったり、祭壇に花が生けられていたりするのもいい。
生け花は、旧家の庭に生えているものばかりで心が和む。これらのあつい信仰
もまた、長い歴史の中で確実に生き続けてきた。
ほおかぶりのお婆さんがこしをかがめながら、野菊をだきかかえて歩いてきた。
野仏に甘い香りが供えられると、村は一段と秋らしくなっていく。

演奏会
黄ばみかけた空を背に、あぜ道を歩く。普通ならそのまま家に帰ろうとするところだが
、
秋の日だけは寄り道をしてしまう。夕刻の時が刻まれるにつれて、土手や刈田の
草の茂みから虫の鳴き声が聞こえてくるからだ。たくさんの才能豊かな演奏家
たちに出会えるのは、一年の内でこの季節だけ。この叢の音色観賞が、
ちょっとした楽しみになっている。
チリチリチリ、ササキリの細かい声が闇に沈んでいくと、今度はジーンジーンという
脳の髄にしみるようなウマオイムシの声。それと同時に、チンチロリンというマツムシ
ガチャガチャというクツワムシ、リリリリリというカンタンなど、待ってましたと
いうように一斉に翅をふるわせはじめる。ススキの穂をそっと見上げると、
小さな黒い影。今日の演奏会はどうやらツユムシからはじまるらしいい。


萌木の国
157
ほんの30年前までは岸で洗濯をしたり、野菜を洗ったりしたもので、湖というのは、
地元のものにとってはそれこそ家の一部だといってもいいほど親しみのある存在だった
。
ところが、旧家と湖とのあいだに、幅の広い舗装道路が出来た。遠浅の砂浜は
ほかからもってきた土砂で埋められ、岸辺はコンクリートで固められてしまった。
そのことによって、湖と人々の間に深い溝が出来てしまった。別に工事によって
岸辺が何キロも、離れてしまったわけではない。距離で言うと、たった30メートル
ほど後退しただけだ。それなのに、湖岸に住んでいた私たちは、湖が全く手の届かない
ところへ行ってしまったような寂しい気持ちになってしまった。
「タップン、タップン」という波のささやきを失った私たちは、不安ですらある。
人の心のなかに溶け込んだ潤沢な湖は、早くも昔の語り草のようになってしまった。

割り木はよく使われていた。それは、お風呂をたくときにだ。そのころ、釜に割り木を
入れる仕事をさせられた。黄昏のほの暗い庭と、深い紺色をした空、そして、油煙
という黒い煤と、香ばしい割り木の香りをはっきりと覚えている。このとき、
大津界隈の家は、割り木をまとめて買っていた。毎年秋の終わりになるころ、何百、
いや何千束という割り木を大型トラックに積んで行商のおやじがもってきた。
割り木はすべてクヌギやコナラだった。

私は、眼を閉じて昔の湊風景を想像してみた。
木の桟橋がいくつも張り出した静かな港に、丸子舟が何艘モ停泊しており、長い
桟橋を人々がせわしなく行き来している。湖岸の際まで続く畑や水田にも人の姿
があり、黄緑色をしたセキショウモがなびく小川が音を立てて湖に流れ込んでいる。
その風景のそこここに、木造りの「にう」が狐色の屋根を光らせている。
採られた割り木は藁で屋根を作ったこの「にう」の中ニびっしりと並び、
しばらく乾燥されてから丸子舟であちこちに運ばれた。
湖の周辺の街で子供のころから親しんできた木の木片がこのような形で運ばれていた。
初めて知った心持だった。割り木は、帆を張って揺れる丸子舟に身を任せ、
青く澄んだ湖面を旅していたのだ。だが、そのような雑木林の最盛時代は、
湖周りの開発とともに終わった。

2016年10月1日土曜日

南小松、八朔祭

八朔(はっさく)とは八月朔日の略で、旧暦の8月1日のことである。
新暦では8月25日ごろから9月23日ごろまでを移動する(秋分が旧暦8月中なので、
早ければその29日前、遅ければ秋分当日となる)。
この頃、早稲の穂が実るので、農民の間で初穂を恩人などに贈る風習が古くから
あった。このことから、田の実の節句ともいう。この「たのみ」を「頼み」
にかけ、武家や公家の間でも、日頃お世話になっている(頼み合っている)
人に、その恩を感謝する意味で贈り物をするようになった。

比良の山並みが薄雲に隠れ、その稜線が橙色に染まり始めていた。
西近江路を少し外れ、更に小道を歩くと、石の道標がやや薄い闇が迫る中で、
出迎えた。地元の古老の話では、古来白鬚神社への信仰は厚く、京都から
遙か遠い神社まで数多くの都人たちも参拝したという。その人たちを
導くための道標が、街道の随所に立てられたが、現在その存在が確認されて
いるのは、七箇所ほど(すべて大津市)。建てられた年代は天保七年で、
どの道標も表に「白鬚神社大明神」とその下に距離(土に埋まって見えない
ものが多い)左側面に「京都寿永講」の銘、右側面に建てられた「天保七年」
が刻まれている。二百数十年の歳月を経て、すでに散逸してしまったものも
あろうが、ここに残されている道標は、すべて地元の方の温かい真心に
よって今日まで受け継がれてきたものだ。その最後の道標が八幡神社の参道の
手前にある。その道標の先にある家の庭には敷き詰められた石と淡然とした
趣のある石灯篭がこちらに向かってにこやかな笑いを帯びた風情で置かれていた。
子供連れの親子やはかま姿の古老たちが何人も脇を通り過ぎていく。見えない
靴音がやや朽ちた壁と石畳の道の間に強く響いていく。その先には、
八幡神社との刻銘がある常夜灯の大きな石の影が参道を寸断するかのように、
一直線に伸びていた。その常夜灯の先に提灯に照らされた八幡神社があった。
古老の話と説明文から、
「南小松の山手にあり、京都の石清水八幡宮と同じ時代に建てられたとされます。
木村新太郎氏の古文書によれば、六十三代天皇冷泉院の時代に当地の夜民牧右馬
大師と言うものが八幡宮の霊夢を見たとのこと。そのお告げでは「我、機縁
によってこの地に棲まんと欲す」と語り、浜辺に珠を埋められる。
大師が直ぐに目を覚まし夢に出た浜辺に向うと大光が現れ、夢のとおり聖像があり、
水中に飛び込み引き上げ、この場所に祠を建てて祀ったのが始まりです。
祭神は応神天皇です。
創祀年代は不明ですが、古来、南小松の産土神であり、往古より日吉大神と
白鬚大神の両神使が往復ごとに当社の林中にて休憩したと云われ、当社と
日吉・白鬚三神の幽契のある所と畏敬されています」と説明する。
大きな狛犬が、本殿を守るかのように鎮座していた。
右のそれのタテガミは、やや逆立つように大きな目は怒りを含んで本殿に向かう
ものへの畏敬を望んでいるようであり、左のそれは緩やかな鬣にあわすかのように
目や口の造作から穏やかな空気が流れ出てくるようだ。ともに180センチ
ほどの大きな体を悠然と台座の上に横たえ、周囲を圧した情感を発している。
静かな空気を剥ぎ取るようにどこからか水音がした。
本殿の横、石の水路からその音は出ていた。水路は小さいものの、水しぶきが
水路にそって伸びる苔の帯に降り注いでいる。小さな光の筋がその緑に絡み
つくように映え、水の強さをさらに深くしているように見えた。
水音をたどれば、後背の杉の群れの中に消え、念仏山といわれる比良の前面に
ある小山へと続いているのであろう。また下へとたどれば、神社の石垣に沿って、
正面の鳥居の下へとそれは続いている。小さいながらも、まるでこの神社を
守るかのように水音が周囲を覆っている。
春の祭礼(四月下旬)には、神輿をお旅所まで担ぎ、野村太鼓奉納や子供神輿
がこの地域を巡るという。拝殿の前には、土俵の堤があり、八朔祭(9月1日)
が行われ、夜七時ごろからは奉納相撲が開催される。子供たちが裸電燈の下で
勢いよくぶつかり合い、周囲からの声援で踏ん張り、そして投げを打つ。
そんな様が自身の少年時分の思い出と重なって古いトーキー映画のごとき
緩やかなモノクロの映像の流れにしばらく身を置く自分がいた。
昭和といわれた時代の名残香が一瞬鼻をつく、しかしそれは五十年以上の
古き香りなのであろう。
さらさらという水音に、沖天の光の中にいる自分、引き戻された。
狛犬の目が一瞬、お前はここで何してんねん、と言っているようでもある。
石と水の里、そんな想いがさらに強まった。


八朔(はっさく)とは八月朔日の略で、旧暦の8月1日のことである。新暦では8月25日
ごろから9月23日ごろまで。この頃、早稲の穂が実るので、農民の間で初穂を恩人など
に贈る風習が古くからあった。このことから、田の実の節句ともいう。今でも各地で八
朔祭としてある。南小松八幡神社では稲穂が実り始めた9月1日に、稲作豊年を祈願する
「奉納子供相撲」が行われます。神事では祝儀袋が土俵に投げ入れられ、小学生の男児
が真剣に戦う姿に大喝采でした。今年のお米の出来はどうでしょうか?新米が楽しみで
すね。


八朔(はっさく)とは八月朔日の略で、旧暦の8月1日のことである。
新暦では8月25日ごろから9月23日ごろまでを移動する(秋分が旧暦8月中なので、早け
ればその29日前、遅ければ秋分当日となる)。
この頃、早稲の穂が実るので、農民の間で初穂を恩人などに贈る風習が古くからあった
。このことから、田の実の節句ともいう。この「たのみ」を「頼み」にかけ、武家や公
家の間でも、日頃お世話になっている(頼み合っている)人に、その恩を感謝する意味
で贈り物をするようになった[1]。
目次  [非表示] 
1 各地の行事
1.1 熊本の八朔祭
1.2 福井の八朔祭
1.3 その他の地域の行事
2 ゆかりの食品
3 関連文献
4 脚注
5 外部リンク
各地の行事[編集]
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熊本の八朔祭[編集]
No-peacock.svg この節は大言壮語的な記述になっています。
Wikipedia:大言壮語をしないを参考に修正して下さい。(2014年8月)

八朔祭の大造り物(熊本県山都町)
熊本県上益城郡山都町の浜町では、野山の自然素材を豊富に使った巨大な「造り物」が
名物の「八朔祭(はっさくまつり)」が、毎年、旧暦8月1日の平均に近い、9月第1土曜
日日曜日の2日間にわたって開催されている。この祭りは江戸時代中期から始まったと
され[誰によって?]、田の神に感謝し収穫の目安を立てる日とされ、NHKなど全国ニュー
スにも毎年取り上げられているほど有名な祭りである。
町の中心街を高さ3?4m、長さ7?8mにもおよぶ大造り物(山車 他にお囃子隊が同行)
が数十基、引き廻される光景は実に壮観で、内外より多くの観光客や写真家を呼び込ん
でいる。
祭りに合わせて放水する国の重要文化財、通潤橋(つうじゅんきょう)の姿は見事で、
夜には通潤橋の近くで花火も打ち上げられ、日頃は閑散とした山の町が遅くまで大勢の
観光客で賑わう。
造り物には順位が付けられ、浜町内の各町や団体が長年培ってきた技術、作品のテーマ
や形にアイデアや知恵を絞り、競い合っている[2]。祭りの本格的な準備は約1ヶ月前か
ら始まり、町内各地に、造り物の山車を作る小屋や番屋が立つ。
福井の八朔祭[編集]
福井県美浜町の新庄区では、五穀豊穣と子孫繁栄を願っておこなわれる。太鼓や笛のお
はやしのなか、樽神輿をかついだ行列が田代公会堂を出発し、日吉神社まですすむ。こ
の行列に続いて、男性のシンボルをかたどったご神体を持ったてんぐが進み、見物客の
女性をご神体(長さ約60センチの木製)でつつく。このご神体でつつかれた女性は子宝
に恵まれるといういわれがある。 [3]。
その他の地域の行事[編集]
京都市東山区の祇園一帯など花街では、新暦8月1日に芸妓や舞妓がお茶屋や芸事の師匠
宅へあいさつに回るのが伝統行事になっている。
福岡県遠賀郡芦屋町では、「八朔の節句」として長男・長女の誕生を祝い、男児は藁で
編む「わら馬」、女児は米粉で作る「だごびーな(団子雛)」を家に飾る行事が行なわ
れており、300年以上続く伝統行事として、国の記録作成等の措置を講ずべき無形の民
俗文化財の選択を受けている。
香川県丸亀市では、男児の健やかな成長を祈り、その地方で獲れた米の粉で「八朔だん
ご馬」を作る風習がある。讃岐藩出身で馬術の名人として名高い曲垣平九郎に因んでい
る。
香川県三豊市の旧仁尾町や兵庫県たつの市御津町室津地区など、歴史的経緯によって本
来は旧暦3月3日に行われる雛祭りを八朔に延期する風習を持つ地域も存在する。
徳川家康が天正18年8月1日(グレゴリオ暦1590年8月30日)に初めて公式に江戸城に入
城したとされることから、江戸幕府はこの日を正月に次ぐ祝日としていた[4]。明治改
暦以降は、新暦8月1日や月遅れで9月1日に行われるようになった。
山梨県都留市では八朔祭りが行われている。都留市の八朔祭りは毎年8月1日の八朔に行
われていたが、現在では9月1日に実施されている。都留市四日市場の生出神社(おいで
じんじゃ)の例祭が発展した祭りで、本祭では神輿が渡御し、附祭では大名行列や屋台
が巡行する。江戸後期の天保年間にはすでに実施されており、現存する屋台後幕は浮世
絵師の葛飾北斎が手がけたとする伝承がある。

七十二候二、旬材、和歌など

二十四節気(にじゅうしせっき)は半月毎の季節の変化を示していますが、これをさら
に約5日おきに分けて、気象の動きや動植物の変化を知らせるのが七十二候(しちじゅ
うにこう)です。二十四節気と同じく古代中国で作られました。二十四節気が古代のも
のがそのまま使われているのに対し、七十二候は何度も変更されてきました。
日本でも、江戸時代に入って日本の気候風土に合うように改定され、「本朝七十二候」
が作られました。現在主に使われているのは、明治時代に改訂された「略本暦」のもの
です。
ちなみに「気候」ということばは、この「節気」と「候」からできています。
※二十四節気について詳しい説明はこちらをご覧ください。 → 二十四節気
七十二候の名称は、気候の変化や動植物の様子が短い文で表されています。私たちの暮
らしでは目にする機会の少ない事象もありますが、おおかたはその時期の「兆し」を伝
え、繊細な季節のうつろいを感じさせてくれます。

永楽屋の二十四節気
http://www.eirakuya.co.jp/ja/24sekki/

七十二候のもう少し詳細
http://cazag.com/381
西近江しんぶん
http://nishioumi.ct-net.com/index1.shtml

春
山笑う
二十四節気「立春(りっしゅん)」

・東風解凍(はるかぜこおりをとく)2月4日頃
春の風が川や湖の氷を解かし始める頃。「東風」(こち)とは春風を表す代名詞。
→蕗のとう
・黄鴬?睆(うぐいすなく)2月9日頃
山里で鴬が鳴き始める頃。春の訪れを告げる鴬は「春告鳥」(はるつげどり)とも呼ば
れます。
→さやえんどう、梅
・魚上氷(うおこおりをいずる)2月14日頃
水がぬるみ、割れた氷の間から魚が飛び跳ねる頃。春先の氷を「薄氷」と呼びます。
→あまご、山女魚、岩魚。めじろ。明日葉。谷汲み踊り。

二十四節気「雨水(うすい)」

・土脉潤起(つちのしょううるおいおこる)2月18日頃
雪がしっとりとした春の雨にかわり、大地が潤い始める頃。「脉」は脈の俗字です。
→春キャベツ。
・霞始靆(かすみはじめてたなびく)2月23日頃
春霞がたなびき始める頃。春の霞んだ月を「朧月」(おぼろづき)と呼びます。
→辛子菜。
・草木萌動(そうもくめばえいずる)2月28日頃
草木が芽吹き始める頃。催花雨、草の芽が萌え出すことを「草萌え」(くさもえ)
とも言います。また、木々についても木の芽起こし、木の芽萌やしとも言います。
→緑繁縷(はこべ)、菜花。

二十四節気「啓蟄(けいちつ)」

・蟄虫啓戸(すごもりのむしとをひらく)3月5日頃
戸を啓いて顔を出すかのように、冬ごもりをしていた生きものが姿を表す頃。
→わらび、ぜんまい、菫(すみれ)。鰆。
・桃始笑(ももはじめてさく)3月10日頃
桃の花が咲き始める頃。花が咲くことを「笑う」と表現、「山笑う」は春の季語です。
→梅、桃、新たまねぎ。さより。
・菜虫化蝶(なむしちょうとかす)3月15日頃
青虫が紋白蝶になる頃。「菜虫」は菜を食べる青虫のこと。菜の花が咲いて
まさに春本番。
→かたばみ、葉わさび。やまとしじみ(小さな蝶)。

二十四節気「春分(しゅんぶん)」

・雀始巣(すずめはじめてすくう)3月20日頃
雀が巣を作り始める頃。昼の時間が少しずつ伸び、多くの小鳥たちが繁殖期を
迎えます。
→蕗、関東たんぽぽ。ひばり。
・桜始開(さくらはじめてひらく)3月25日頃
桜の花が咲き始める頃。桜前線の北上を日本中が待ち望む、お花見の季節の到来です。
→こぶし、アスパラガス。さくらえび。
・雷乃発声(かみなりすなわちこえをはっす)3月30日頃
春の訪れを告げる雷が鳴り始める頃。「春雷」(しゅんらい)は「虫出しの雷」とも呼
ばれています。
→うど、木蓮。真鯛。

二十四節気「清明(せいめい)」

・玄鳥至(つばめきたる)4月5日頃
燕が南の国から渡ってくる頃。「玄鳥」(げんちょう)とは燕の異名です。
→行者にんにく。初鰹。
・鴻雁北(こうがんきたへかえる)4月10日頃
雁が北へ帰っていく頃。雁は夏場をシベリアで、冬は日本で過ごす渡り鳥です。
→たらのめ(山菜)。ほたるいか。
・虹始見(にじはじめてあらわる)4月15日頃
雨上がりに虹が見え始める頃。淡く消えやすい春の虹も次第にくっきりしてきます。
→みつば、小楢(花が咲く頃)。雨前茶。

二十四節気「穀雨(こくう)」
瑞雨、甘雨、春琳、催花雨等春の雨には色々ある。
・葭始生(あしはじめてしょうず)4月20日頃
水辺の葭が芽吹き始める頃。葭は夏に背を伸ばし、秋に黄金色の穂をなびかせます。
→葦牙(あしかび)、新ごぼう。鯵。
・霜止出苗(しもやみてなえいずる)4月25日頃
霜が降りなくなり、苗代で稲の苗が生長する頃。霜は作物の大敵とされています。
→よもぎ。いとより。
・牡丹華(ぼたんはなさく)4月30日頃
牡丹が大きな花を咲かせる頃。豪華で艶やかな牡丹は「百花の王」と呼ばれています。
八十八夜。
→牡丹、こごみ。さざえ。

俳句 春
八講の比良山見ゆれ枯木原     青々
八講はすぎたしらせか鶴のこえ   楓下
春は京冬は残れリ比良の山     道加
八景は比良にかたまる桜かな    麦水
花野来て比良の横雲望みけり    華村

和歌 春
・桜さく比良の山風吹くままに
 花になりゆく志賀の浦なみ     御京極
・花さそうひらの山風ふきにけり
 こぎ行く船の跡見ゆるまで     宮内卿
・桜咲く比良の山風ふくなへに
 花のさざ波寄する水海       大納言定国
・さざ波の近江の海に船はてて
 比良の山桜ちるまで見む      荷田蒼生子



夏
山滴る。
二十四節気「立夏(りっか)」

・蛙始鳴(かわずはじめてなく)5月5日頃
蛙が鳴き始める頃。水田の中をスイスイ泳ぎ、活発に活動を始めます。「かわず」は蛙
の歌語・雅語。
→藤、にんじん。金目鯛。
・蚯蚓出(みみずいずる)5月10日頃
みみずが地上に出てくる頃。畑土をほぐしてくれるみみずは、動き始めるのが少し遅め
です。
→苺。ほおじろ。いさき。
・竹笋生(たけのこしょうず)5月15日頃
たけのこが出てくる頃。たけのこは成長が早く、一晩でひと節伸びると
言われています。
→筍。あさり。

二十四節気「小満(しょうまん)」

・蚕起食桑(かいこおきてくわをはむ)5月21日頃
蚕が桑の葉を盛んに食べだす頃。蚕がつむいだ繭が美しい絹糸になります。
→そらまめ。きす。
・紅花栄(べにばなさかう)5月26日頃
紅花の花が咲きほこる頃。紅花は染料や口紅になり、珍重されました。
→しそ、紅花。車えび。
・麦秋至(むぎのときいたる)5月31日頃
麦の穂が実り始める頃。「秋」は実りの季節を表し、穂を揺らす風は「麦の秋風」。
刈り取りを待つ麦畑は一面の黄金色。この頃、降る雨を麦雨ばくうと呼ぶ。
→枇杷。べら。四十雀しじゅうから(ツィピーツィツィピーと啼く)。

二十四節気「芒種(ぼうしゅ)」

・蟷螂生(かまきりしょうず)6月5日頃
かまきりが卵からかえる頃。ピンポン球ほどの卵から数百匹の子が誕生します。
→ラッキョウ、苗代苺。あいなめ。
・腐草為螢(くされたるくさほたるとなる)6月10日頃
草の中から蛍が舞い、光を放ち始める頃。昔は腐った草が蛍になると考えていました。
→とまと。するめいか。蛍。
・梅子黄(うめのみきばむ)6月15日頃
梅の実が黄ばんで熟す頃。青い梅が次第に黄色みをおび、赤く熟していきます。
→梅が旬、すいかずら。すずき。

二十四節気「夏至(げし)」

・乃東枯(なつかれくさかるる)6月21日頃
夏枯草の花が黒ずみ枯れたように見える頃。「夏枯草」(かごそう)はうつぼ草
の異名です。その花穂は生薬として役立っています。
→ウツボグサ、夏みかん。鮎。
・菖蒲華(あやめはなさく)6月26日頃
あやめの花が咲き始める頃。端午の節供に用いる菖蒲(しょうぶ)ではなく、花菖蒲のこ
とです。青嵐、青時雨。
→菖蒲、茗荷。かんぱち。
・半夏生(はんげしょうず)7月1日頃
半夏が生え始める頃。田植えを終える目安とされました。「半夏」は「烏柄杓」(から
すびしゃく)の異名。半夏雨。
→おくら。はも。
古くから小豆には魔除けの力があるとされ、夏越祓にも外郎(ういろう)に小豆をのせ
た
「水無月」を食べる習慣がある。永楽屋の水無月には、丹波産大納言小豆を用いる。


二十四節気「小暑(しょうしょ)」

・温風至(あつかぜいたる)7月7日頃
熱い風が吹き始める頃。温風は梅雨明けの頃に吹く南風のこと。日に日に暑さが増しま
す。
→ほおずき。こち。
・蓮始開(はすはじめてひらく)7月12日頃
蓮の花が咲き始める頃。優美で清らかな蓮は、天上の花にたとえられています。
→蓮、とうもろこし。かれい。
・鷹乃学習(たかすなわちがくしゅうす)7月17日頃
鷹の子が飛ぶ技を覚え、巣立ちを迎える頃。獲物をとらえ一人前になっていきます。
→モロヘイヤ。鰻。ハチクマ。

二十四節気「大暑(たいしょ)」

・桐始結花(きりはじめてはなをむすぶ)7月23日頃
桐の花が実を結び始める頃。桐は箪笥や下駄など暮らしの道具に欠かせないものです。
→桐の花、きゅうり。そうめん。うに。
・土潤溽暑(つちうるおうてむしあつし)7月28日頃
土がじっとりとして蒸し暑くなる頃。蒸し暑いことを「溽暑(じょくしょ)」と
言います。
→八朔(八月一日の早稲の穂)、枝豆。あなご。
・大雨時行(たいうときどきふる)8月2日頃
ときどき大雨が降る頃。むくむくと湧き上がる入道雲が夕立になり、乾いた大地を潤し
ます。
→すいか。太刀魚。かぶとむし。

俳句 夏
十六夜の気色わけたり比良伊吹  
鳴神や幾度比良へ帰る雲     士朗
いかほども雲たくはへよ比良伊吹 千影
白雨や比良より雲の出来心    団室

和歌  夏
ほととぎす 三津の浜辺に 待つ声を 比良の高嶺に 鳴き過ぎべしや


秋
山装う
二十四節気「立秋(りっしゅう)」

・涼風至(すずかぜいたる)8月7日頃
涼しい風が吹き始める頃。まだ暑いからこそ、ふとした瞬間に涼を感じること
ができます。秋隣。
→露草、桃。しじみ。
・寒蝉鳴(ひぐらしなく)8月12日頃
カナカナと甲高くひぐらしが鳴き始める頃。日暮れに響く虫の声は、一服の清涼剤。
→ほおずき。めごち。ひぐらし。
・蒙霧升降(ふかききりまとう)8月17日頃
深い霧がまとわりつくように立ち込める頃。秋の「霧」に対して、春は「霞」と呼びま
す。樹雨きさめ
→水引、新しょうが。真たこ。

二十四節気「処暑(しょしょ)」

・綿柎開(わたのはなしべひらく)8月23日頃
綿を包むガクが開き始める頃。綿の実がはじけ白いふわふわが顔をのぞかせた様子。
→すだち、綿花。かさご。
・天地始粛(てんちはじめてさむし)8月28日頃
天地の暑さがようやくおさまり始める頃。「粛」は縮む、しずまるという意味です。
野分のわき。
→ぶどう。ぐち。
・禾乃登(こくものすなわちみのる)9月2日頃
いよいよ稲が実り、穂を垂らす頃。「禾」は稲穂が実ったところを表した象形文字。
→無花果いちじく、きんえのころ。まつむし。鰯。

二十四節気「白露(はくろ)」

・草露白(くさのつゆしろし)9月7日頃
草に降りた露が白く光って見える頃。朝夕の涼しさが際立ってきます。
→秋の七草(萩、すすき、葛、なでしこ、おみなえし、藤袴、桔梗)。島鯵。
秋の野に咲きたる花を指および折り かき数ふれば七種ななくさの花 山上憶良
・鶺鴒鳴(せきれいなく)9月12日頃
せきれいが鳴き始める頃。せきれいは日本神話にも登場し、別名は「恋教え鳥」。
→梨、オシロイバナ(夕化粧ともいう)。あわび。鶺鴒せきれい チチィとなく。
・玄鳥去(つばめさる)9月17日頃
燕が子育てを終え、南へ帰っていく頃。来春までしばしのお別れです。
→鶏頭、なす。昆布。

二十四節気「秋分(しゅうぶん)」

・雷乃収声(かみなりすなわちこえをおさむ)9月23日頃
雷が鳴らなくなる頃。春分に始まり夏の間鳴り響いた雷も、鳴りをひそめます。
→彼岸花、松茸。はぜ。
・蟄虫坏戸(むしかくれてとをふさぐ)9月28日頃
虫たちが土にもぐり、入口の戸をふさぐ頃。冬ごもりの支度をする時期です。
→紫苑、里芋。さんま。茅場(ススキの野原)芋茎ずいき、里芋の茎。
・水始涸(みずはじめてかるる)10月3日頃
田んぼの水を抜き、稲刈りの準備をする頃。井戸の水が枯れ始める頃との説も。
→金木犀、銀杏、稲の実り。とらふぐ。

二十四節気「寒露(かんろ)」

・鴻雁来(こうがんきたる)10月8日頃
雁が渡ってくる頃。清明の時期に北へ帰っていった雁たちが、再びやってきます。
→ななかまど、しめじ。ししゃも。鴈渡し(晩秋に吹く北風)
・菊花開(きくのはなひらく)10月13日頃
菊の花が咲き始める頃。旧暦では重陽の節供の時期で、菊で長寿を祈願しました。
→栗。はたはた。菊晴れ(菊の花が咲くころに青空が晴れ渡る)
・蟋蟀在戸(きりぎりすとにあり)10月18日頃
戸口で秋の虫が鳴く頃。昔は「こおろぎ」を「きりぎりす」と呼びました。
→柿。鯖。

二十四節気「霜降(そうこう)」

・霜始降花(しもはじめてふる)10月23日頃
山里に霜が降り始める頃。草木や作物を枯らす霜を警戒する時期です。
→紫式部。ほっけ。ひよどり ヒーヨとなく。
・霎時施(しぐれときどきふる)10月28日頃
ときどき小雨が降る頃。「霎」をしぐれと読むことも。ひと雨ごとに気温が
下がります。初時雨、片時雨、横時雨
→山芋。きんき。
・楓蔦黄(もみじつたきばむ)11月2日頃
楓(かえで)や蔦の葉が色づく頃。晩秋の山々は赤や黄に彩られ、紅葉
狩りの季節です。
→さつまいも。かわはぎ。

俳句 秋
風雲や時雨をくばる比良おもて  大草
夕焼けの比良を見やりつ柿赤し  惣之助
楊梅の瀧見失う船の秋      虚子
有明や比良の高根も霧の海    白堂
名月やひそかに寒き比良が嶺   歌童

和歌  秋
・ち早ふる比良の御山のもみぢ葉に
 ゆうかけわたすけさの白雲    安法
・宿りするひらの都の仮庵に
 尾花みだれて秋風ぞ吹く     光俊朝臣
・小浪や比良の高嶺の山おろしに
 紅葉を海の物となしたる     刑部卿範



冬
山眠る
二十四節気「立冬(りっとう)」

・山茶始開(つばきはじめてひらく)11月7日頃
山茶花(さざんか)の花が咲き始める頃。椿と混同されがちですが、先駆けて咲くのは
山茶花です。
→みかん。ひらめ。
・地始凍(ちはじめてこおる)11月12日頃
大地が凍り始める頃。サクサクと霜柱を踏みしめて歩くのが楽しみな時期です。
→ほうれんそう、茶の花。毛蟹。
・金盞香(きんせんかさく)11月17日頃
水仙が咲き芳香を放つ頃。「金盞」は金の盃のことで、水仙の黄色い冠を
見立てています。
→れんこん、水仙。甲いか。まひわ(冬を告げる鳥)

二十四節気「小雪(しょうせつ)」
小春日和(旧暦10月を小春、暖かな陽射し包まれ陽気になる日がある)

・虹蔵不見(にじかくれてみえず)11月22日頃
陽の光も弱まり、虹を見かけなくなる頃。「蔵」には潜むという意味があります。
→りんご、野茨。くえ。新嘗祭
・朔風払葉(きたかぜこのはをはらう)11月27日頃
北風が木の葉を吹き払う頃。「朔風」は北の風という意味で、木枯らしをさします。
→白菜、やつで。かわせみ。かます。
・橘始黄(たちばなはじめてきばむ)12月2日頃
橘の実が黄色く色づき始める頃。常緑樹の橘は、永遠の象徴とされています。
→橘(常緑樹で黄色の実)、セロリ。ぼら(はく、すばしり、おぼこ、いな、ぼら、と
ど)。

二十四節気「大雪(たいせつ)」

・閉塞成冬(そらさむくふゆとなる)12月7日頃
空が閉ざされ真冬となる。空をふさぐかのように重苦しい空が真冬の空です。
→ふろふき大根。ぶり。大鷺。
・熊蟄穴(くまあなにこもる)12月12日頃
熊が穴に入って冬ごもりする頃。何も食べずに過ごすため、秋に食いだめをします。
→ねぎ、椿。牡蠣。
・鮭魚群(さけのうおむらがる)12月17日頃
鮭が群がって川を上る頃。川で生まれた鮭は、海を回遊し故郷の川へ帰ります。
→にら。鮭。むみらさきしじみ。

二十四節気「冬至(とうじ)」
冬至梅がある。
・乃東生(なつかれくさしょうず)12月22日頃
夏枯草が芽をだす頃。夏至の「乃東枯」に対応し、うつぼ草を表しています。
→柚子、千両、万両。まぐろ。こげら。
・麋角解(さわしかのつのおつる)12月27日頃
鹿の角が落ちる頃。「麋」は大鹿のことで、古い角を落として生え変わります。
→かぼちゃ。鯉。おなが。
・雪下出麦(ゆきわたりてむぎのびる)1月1日頃
雪の下で麦が芽をだす頃。浮き上がった芽を踏む「麦踏み」は日本独特の風習です。
→百合根。イセエビ
初茜(初日直前の茜空。夜の暗がりから白み、明るみ、茜に染まる東雲しののめの空。

二十四節気「小寒(しょうかん)」

・芹乃栄(せりすなわちさかう)1月5日頃
芹が盛んに育つ頃。春の七草のひとつで、7日の七草粥に入れて食べられます。
→春の七草(せり、なずな、ごぎょう(ははこぐさ)、はこべら(はこべ)、
ほとけのざ(こおにたびらこ)、すずな(蕪)、すずしろ(大根)。鱈。
・水泉動(しみずあたたかをふくむ)1月10日頃
地中で凍っていた泉が動き始める頃。かすかなあたたかさを愛おしく感じる時期です。
→春菊、柊。こまい(氷下魚)。寒九の雨。
・雉始?(きじはじめてなく)1月15日頃
雉が鳴き始める頃。雄がケーンケーンと甲高い声をあげて求愛します。
→蕪、蝋梅(蝋月)。雉。鮟鱇。

二十四節気「大寒(だいかん)」

・款冬華(ふきのはなさく)1月20日頃
雪の下からふきのとうが顔をだす頃。香りが強くほろ苦いふきのとうは早春の味。
→小松菜、南天。赤貝。あおじ。
・水沢腹堅(さわみずこおりつめる)1月25日頃
沢に厚い氷が張りつめる頃。沢に流れる水さえも凍る厳冬ならではの風景です。
→水菜、福寿草。わかさぎ。じょうびたき。
・鶏始乳(にわとりはじめてとやにつく)1月30日頃
鶏が鳥屋に入って卵を産み始める頃。本来、鶏は冬は産卵せず、春が近づくと卵を産み
ました。
→金柑。めひかり。

俳句  冬
湖の鏡にさむし比良の山     支考
春遅し敦賀の津まで比良の雪   素堂
比良三上雪さしわたせ鷺のはし  芭蕉
寒梅やさす枝に白き比良嶽    巴人

和歌  冬
・楽浪の比良の山風の海吹けば
 釣する海人あまの袖反かえる見ゆ 
・吹き迷う雲をさまりし夕なぎに
 比良の高ねの雪を見るかな   為美
・夕づく日比良の高ねを眺むれば 
 くるるともなき雪の白妙    元恒
・近江路や北より冬はきにけらし
 比良の大山まづしくつつ    公朝


ーーーーーーーーー

七十二候
http://www.543life.com/season.html

暮らしの歳時記
http://www.i-nekko.jp/
http://www.i-nekko.jp/meguritokoyomi/shichijyuunikou/

イラスト
http://azukichi.net/season/09_september.html

二十四節気(にじゅうしせっき)、七十二候(しちじゅうにこう)とは
「春分」「冬至」などよく耳にするのが「二十四節気」で1年を24等分して約15日ごと
に分けた季節のこと。約2600年も前に中国の黄河地方で作られた暦のため、実際の日本
の気候とは若干のずれがあります。
「七十二候」は半月ごとの季節変化を表す「二十四節気」をさらに約5日おきに分け、
気象の動きや動植物の変化を知らせるもので、日本の気候や風土に合うよう江戸時代に
入ってから何度か改定されています。
出典: etherealvistas.com
「春分」「冬至」などよく耳にするのが「二十四節気」で1年を24等分して約15日ごと
に分けた季節のこと。約2600年も前に中国の黄河地方で作られた暦のため、実際の日本
の気候とは若干のずれがあります。
「七十二候」は半月ごとの季節変化を表す「二十四節気」をさらに約5日おきに分け、
気象の動きや動植物の変化を知らせるもので、日本の気候や風土に合うよう江戸時代に
入ってから何度か改定されています。
七十二候の名称は、気候の変化や動植物の様子が短い文で表されています。私たちの暮
らしでは目にする機会の少ない事象もありますが、おおかたはその時期の「兆し」を伝
え、繊細な季節のうつろいを感じさせてくれます。
出典:七十二候|暮らし歳時記
春
二十四節気「立春(りっしゅん)」
・東風解凍(はるかぜこおりをとく)2月4日頃
春の風が川や湖の氷を解かし始める頃。「東風」(こち)とは春風を表す代名詞。
・黄鴬?睆(うぐいすなく)2月9日頃
山里で鴬が鳴き始める頃。春の訪れを告げる鴬は「春告鳥」(はるつげどり)とも呼ば
れます。
・魚上氷(うおこおりをいずる)2月14日頃
水がぬるみ、割れた氷の間から魚が飛び跳ねる頃。春先の氷を「薄氷」と呼びます。
立春(2月4日頃)
立春は一年のはじめとされ、季節の節目はこの日が起点になっています。まだまだ寒い
ですが、暦上ではこの日から春となります。
初候:「東風解凍」(はるかぜこおりをとく)
次候:「黄鴬?睆」(おうこうけんかんす)
末候:「魚上氷」(うおこおりをいずる)
黄鶯?睆(おうこうけんかんす) 2月9日
「うぐいすなく」とも読みます。その名の通り、山里でウグイスが鳴き始める頃。ウグ
イスは別名「春告鳥」ともいい、その声で春の訪れを知る、とされています。
出典: monalisa15.blog54.fc2.com
「うぐいすなく」とも読みます。その名の通り、山里でウグイスが鳴き始める頃。ウグ
イスは別名「春告鳥」ともいい、その声で春の訪れを知る、とされています。

二十四節気「雨水(うすい)」
・土脉潤起(つちのしょううるおいおこる)2月18日頃
雪がしっとりとした春の雨にかわり、大地が潤い始める頃。「脉」は脈の俗字です。
・霞始靆(かすみはじめてたなびく)2月23日頃
春霞がたなびき始める頃。春の霞んだ月を「朧月」(おぼろづき)と呼びます。
・草木萌動(そうもくめばえいずる)2月28日頃
草木が芽吹き始める頃。草の芽が萌え出すことを「草萌え」(くさもえ)と言います。
雨水(2月19日頃)
空から降るのが雪から雨に変わり、氷が溶けて水になるという意味。春一番が吹くのも
この頃です。
初候:「土脉潤起」(つちのしょううるおいおこる)
次候:「霞始靆」(かすみはじめてたなびく)
末候:「草木萌動」(そうもくめばえいずる)
草木萠動(そうもくめばえいずる) 3月1日
寒さも和らぎ、日に日に暖かくなりはじめ草木が芽吹き始める頃。長く寒い冬も終わり
、いよいよ本格的に春がやってきます。
出典: ameblo.jp
寒さも和らぎ、日に日に暖かくなりはじめ草木が芽吹き始める頃。長く寒い冬も終わり
、いよいよ本格的に春がやってきます。
いかがでしたか?
現代の私たちの生活では目にする機会のない事象もありますが、「暮らしの歳時記」と
して時にはうつろいゆく季節の美しさをちょっと違う視点から眺めてみるのも面白いか
もしれません。
季節の移ろいを美しい日本語で。「七十二候(しちじゅうにこう)」をご存知ですか?
出典: yako1223.blog85.fc2.com


二十四節気「啓蟄(けいちつ)」
・蟄虫啓戸(すごもりのむしとをひらく)3月5日頃
戸を啓いて顔を出すかのように、冬ごもりをしていた生きものが姿を表す頃。
・桃始笑(ももはじめてさく)3月10日頃
桃の花が咲き始める頃。花が咲くことを「笑う」と表現、「山笑う」は春の季語です。
・菜虫化蝶(なむしちょうとなる)3月15日頃
青虫が紋白蝶になる頃。「菜虫」は菜を食べる青虫のこと。菜の花が咲いてまさに春本
番。

啓蟄(3月6日頃)
冬ごもりしていた虫が、地中からはい出る頃。
初候:「蟄虫啓戸」(すごもりのむしとをひらく)
次候:「桃始笑」(ももはじめてさく)
末候:「菜虫化蝶」(なむしちょうとなる)
桃始笑(ももはじめてさく) 3月11日
桃の花が咲き始める時期。花が咲くことを笑うと表現しています。ちなみに「山笑う」
とは俳句の春の季語で、春山の明るい雰囲気をイメージさせてくれます。
出典: blogs.yahoo.co.jp
桃の花が咲き始める時期。花が咲くことを笑うと表現しています。ちなみに「山笑う」
とは俳句の春の季語で、春山の明るい雰囲気をイメージさせてくれます。

二十四節気「春分(しゅんぶん)」
・雀始巣(すずめはじめてすくう)3月20日頃
雀が巣を作り始める頃。昼の時間が少しずつ伸び、多くの小鳥たちが繁殖期を迎えます
。
・桜始開(さくらはじめてひらく)3月25日頃
桜の花が咲き始める頃。桜前線の北上を日本中が待ち望む、お花見の季節の到来です。
・雷乃発声(かみなりすなわちこえをはっす)3月30日頃
春の訪れを告げる雷が鳴り始める頃。「春雷」(しゅんらい)は「虫出しの雷」とも呼
ばれています。


春分(3月21日頃)
太陽の中心が春分点に達し、全地球上の昼夜の長さがほぼ等しくなる日。
初候:「雀始巣」(すずめはじめてすくう)
次候:「桜始開」(さくらはじめてひらく)
末候:「雷乃発声」(かみなりすなわちこえをはっす)
桜始開(さくらはじめてひらく) 3月26日
桜の花が咲き始める頃。各地で桜の開花予想が発表され、待ちわびた春の到来と楽しい
お花見の予定にわくわくする季節です。
出典: yako1223.blog85.fc2.com
桜の花が咲き始める頃。各地で桜の開花予想が発表され、待ちわびた春の到来と楽しい
お花見の予定にわくわくする季節です。

二十四節気「清明(せいめい)」
・玄鳥至(つばめきたる)4月5日頃
燕が南の国から渡ってくる頃。「玄鳥」(げんちょう)とは燕の異名です。
・鴻雁北(こうがんかえる)4月10日頃
雁が北へ帰っていく頃。雁は夏場をシベリアで、冬は日本で過ごす渡り鳥です。
・虹始見(にじはじめてあらわる)4月15日頃
雨上がりに虹が見え始める頃。淡く消えやすい春の虹も次第にくっきりしてきます。
清明イメージ
清明(4月5日頃)
春のはじめの清らかで生き生きとした様子「清浄明潔」という語を略したもの。
初候:「玄鳥至」(つばめきたる)
次候:「鴻雁北」(こうがんかえる)
末候:「虹始見」(にじはじめてあらわる)
虹始見(にじはじめてあらわる) 4月15日
日増しに陽光が強くなり、雨上がりに美しい虹が見られるようになる、という意味です
。東京スカイツリーにダブルの虹、とても幻想的な風景ですね。
出典: blog.bot.vc
日増しに陽光が強くなり、雨上がりに美しい虹が見られるようになる、という意味です
。東京スカイツリーにダブルの虹、とても幻想的な風景ですね。

二十四節気「穀雨(こくう)」
・葭始生(あしはじめてしょうず)4月20日頃
水辺の葭が芽吹き始める頃。葭は夏に背を伸ばし、秋に黄金色の穂をなびかせます。
・霜止出苗(しもやみてなえいずる)4月25日頃
霜が降りなくなり、苗代で稲の苗が生長する頃。霜は作物の大敵とされています。
・牡丹華(ぼたんはなさく)4月30日頃
牡丹が大きな花を咲かせる頃。豪華で艶やかな牡丹は「百花の王」と呼ばれています。


穀雨(4月20日頃)
この時期に降る雨は「百穀春雨」、百穀を潤し芽を出させる春雨といわれています。種
まきなどを始めるのに適した時期として、農作業の目安になっています。
初候:「葭始生」(あしはじめてしょうず)
次候:「霜止出苗」(しもやみてなえいずる)
末候:「牡丹華」(ぼたんはなさく)
牡丹華(ぼたんはなさく) 4月30日
牡丹の花が咲く頃。牡丹は日本には遣唐使によってもたらされたともいわれ「富貴草」
、「百花の王」などの別名があります。
出典: www.yuushien.com
牡丹の花が咲く頃。牡丹は日本には遣唐使によってもたらされたともいわれ「富貴草」
、「百花の王」などの別名があります。

二十四節気「立夏(りっか)」
・蛙始鳴(かわずはじめてなく)5月5日頃
蛙が鳴き始める頃。水田の中をスイスイ泳ぎ、活発に活動を始めます。「かわず」は蛙
の歌語・雅語。
・蚯蚓出(みみずいずる)5月10日頃
みみずが地上に出てくる頃。畑土をほぐしてくれるみみずは、動き始めるのが少し遅め
です。
・竹笋生(たけのこしょうず)5月15日頃
たけのこが出てくる頃。たけのこは成長が早く、一晩でひと節伸びると言われています
。
立夏イメージ

立夏(5月5日頃)
暦の上では立夏から立秋の前日までが「夏」とされています。「夏が立つ」夏の始まり
です。
初候:「蛙始鳴」(かわずはじめてなく)
次候:「蚯蚓出」(みみずいずる)
末候:「竹笋生」(たけのこしょうず)
竹笋生(たけのこしょうず) 5月15日
タケノコが生えてくる頃。「雨後の筍」というたとえもある通り、雨の降った後は続々
と生えてくるそうです。
出典: chirotic.exblog.jp
タケノコが生えてくる頃。「雨後の筍」というたとえもある通り、雨の降った後は続々
と生えてくるそうです。

二十四節気「小満(しょうまん)」

・蚕起食桑(かいこおきてくわをはむ)5月21日頃
蚕が桑の葉を盛んに食べだす頃。蚕がつむいだ繭が美しい絹糸になります。
・紅花栄(べにばなさかう)5月26日頃
紅花の花が咲きほこる頃。紅花は染料や口紅になり、珍重されました。
麦秋至(むぎのときいたる)5月31日頃
麦の穂が実り始める頃。「秋」は実りの季節を表し、穂を揺らす風は「麦の秋風」。

小満(5月21日頃)
陽気が日増しに良くなり、万物が成長して天地に満ち始めることから小満と言われれる
そうです。
初候:「蚕起食桑」(かいこおきてくわをはむ)
次候:「紅花栄」(べにばなさかう)
末候:「麦秋至」(むぎのときいたる)
麦秋至(むぎのときいたる) 5月31日
麦の穂が実り始め、収穫するころ。季節としては初夏ですが、麦にとっては収穫の「秋
」であることから、名づけられた季節が「麦秋」です。「麦秋」は俳句の夏の季語の一
つです。
出典: www.couleure.jp
麦の穂が実り始め、収穫するころ。季節としては初夏ですが、麦にとっては収穫の「秋
」であることから、名づけられた季節が「麦秋」です。「麦秋」は俳句の夏の季語の一
つです。

二十四節気「芒種(ぼうしゅ)」
・蟷螂生(かまきりしょうず)6月5日頃
かまきりが卵からかえる頃。ピンポン球ほどの卵から数百匹の子が誕生します。
・腐草為螢(くされたるくさほたるとなる)6月10日頃
草の中から蛍が舞い、光を放ち始める頃。昔は腐った草が蛍になると考えていました。
・梅子黄(うめのみきばむ)6月15日頃
梅の実が黄ばんで熟す頃。青い梅が次第に黄色みをおび、赤く熟していきます。
芒種イメージ
芒種(6月6日頃)
稲・麦など芒(のぎ)をもつ穀物の種をまく季節とされたことから、芒種と呼ばれていま
す。実際の種まきはこれより早い時期に行われます。
初候:「蟷螂生」(かまきりしょうず)
次候:「腐草為蛍」(くされたるくさほたるとなる)
末候:「梅子黄」(うめのみきばむ)
腐草為蛍(かれたるくさほたるとなる) 6月11日
腐った草が蒸れて、蛍になるという意味。昔は腐った草が蛍になると考えられていたそ
うです。ホタルの幻想的な光は風情ある夏の夜の風物詩ですね。
出典: jp.pinterest.com
腐った草が蒸れて、蛍になるという意味。昔は腐った草が蛍になると考えられていたそ
うです。ホタルの幻想的な光は風情ある夏の夜の風物詩ですね。



二十四節気「夏至(げし)」

・乃東枯(なつかれくさかるる)6月21日頃
夏枯草の花が黒ずみ枯れたように見える頃。「夏枯草」(かごそう)はうつぼ草の異名で
す。
・菖蒲華(あやめはなさく)6月26日頃
あやめの花が咲き始める頃。端午の節供に用いる菖蒲(しょうぶ)ではなく、花菖蒲のこ
とです。
・半夏生(はんげしょうず)7月1日頃
半夏が生え始める頃。田植えを終える目安とされました。「半夏」は「烏柄杓」(から
すびしゃく)の異名。
夏至(6月21日頃)
夏至とは「日長きこと至る、きわまる」と言う意味だそうです。一年で昼の長さが最も
長く、夜が短い日。正午の太陽の高さも一年で最も高くなります。
初候:「乃東枯」(なつかれくさかるる)
次候:「菖蒲華」(あやめはなさく)
末候:「半夏生」(はんげしょうず)
半夏生(はんげしょうず) 7月2日
梅雨の末期に、半夏(別名=烏柄杓<からすびしゃく>)という毒草が生える、多湿で
不順な頃のこと。農家ではこの日までに田植えを済ませ、どんなに気候が不順でもこの
後には田植えをしないという習慣があったそうです。
出典: jp.pinterest.com
梅雨の末期に、半夏(別名=烏柄杓<からすびしゃく>)という毒草が生える、多湿で
不順な頃のこと。農家ではこの日までに田植えを済ませ、どんなに気候が不順でもこの
後には田植えをしないという習慣があったそうです。

二十四節気「小暑(しょうしょ)」
・温風至(あつかぜいたる)7月7日頃
熱い風が吹き始める頃。温風は梅雨明けの頃に吹く南風のこと。日に日に暑さが増しま
す。
・蓮始開(はすはじめてひらく)7月12日頃
蓮の花が咲き始める頃。優美で清らかな蓮は、天上の花にたとえられています。
・鷹乃学習(たかすなわちがくしゅうす)7月17日頃
鷹の子が飛ぶ技を覚え、巣立ちを迎える頃。獲物をとらえ一人前になっていきます。
小暑イメージ
小暑(7月7日頃)
この頃から暑さがだんだん強くなっていくという意味です。例年では小暑から3~7日く
らい遅れて梅雨明けすることが多いようです。
初候:「温風至」(あつかぜいたる)
次候:「蓮始開」(はすはじめてひらく)
末候:「鷹乃学習」(たかすなわちがくしゅうす)
鷹乃学習(たかすなわちがくしゅうす) 7月17日
春に生まれた鷹の幼鳥が、飛び方や獲物を捕らえる技を覚え、巣からの旅立ちを迎える
頃。日本では古今タカといえば「大鷹」をさすことが多く、優れたハンターであること
から「鷹狩り」などに使われました。
出典: claire-de-lune.jp
春に生まれた鷹の幼鳥が、飛び方や獲物を捕らえる技を覚え、巣からの旅立ちを迎える
頃。日本では古今タカといえば「大鷹」をさすことが多く、優れたハンターであること
から「鷹狩り」などに使われました。

二十四節気「大暑(たいしょ)」
・桐始結花(きりはじめてはなをむすぶ)7月23日頃
桐の花が実を結び始める頃。桐は箪笥や下駄など暮らしの道具に欠かせないものです。
・土潤溽暑(つちうるおうてむしあつし)7月28日頃
土がじっとりとして蒸し暑くなる頃。蒸し暑いことを「溽暑(じょくしょ)」と言いま
す。
・大雨時行(たいうときどきふる)8月2日頃
ときどき大雨が降る頃。むくむくと湧き上がる入道雲が夕立になり、乾いた大地を潤し
ます。
大暑(7月23日頃)
梅雨明けの時期で、夏の土用もこの頃にあたります。最も暑い頃という意味ですが、現
代では実際の暑さのピークはもう少し後になりますね。
初候:「桐始結花」(きりはじめてはなをむすぶ)
次候:「土潤溽暑」(つちうるおうてむしあつし)
末候:「大雨時行」(たいうときどきふる)
大雨時行(たいうときどきふる) 8月3日
「ときどき大雨が降る」の意。ざあっと降る夕立より、近年では異常気象による大型台
風やゲリラ豪雨のほうが強い印象がありますね。
出典: jp.pinterest.com
「ときどき大雨が降る」の意。ざあっと降る夕立より、近年では異常気象による大型台
風やゲリラ豪雨のほうが強い印象がありますね。

二十四節気「立秋(りっしゅう)」
・涼風至(すずかぜいたる)8月7日頃
涼しい風が吹き始める頃。まだ暑いからこそ、ふとした瞬間に涼を感じることができま
す。
・寒蝉鳴(ひぐらしなく)8月12日頃
カナカナと甲高くひぐらしが鳴き始める頃。日暮れに響く虫の声は、一服の清涼剤。
・蒙霧升降(ふかききりまとう)8月17日頃
深い霧がまとわりつくように立ち込める頃。秋の「霧」に対して、春は「霞」と呼びま
す。
立秋イメージ

立秋(8月7日頃)
暦の上では秋になりますが、まだまだ残暑が厳しく気温の高い日が続く時期。
初候:「涼風至」(すずかぜいたる)
次候:「寒蝉鳴」(ひぐらしなく)
末候:「蒙霧升降」(ふかききりまとう)
蒙霧升降(ふかききりまとう) 8月18日
深い霧がまとわりつくようにたちこめる頃。俳句の季語では秋は「霧」、春は「霞(か
すみ)」になります。
出典: jp.pinterest.com
深い霧がまとわりつくようにたちこめる頃。俳句の季語では秋は「霧」、春は「霞(か
すみ)」になります。

二十四節気「処暑(しょしょ)」
・綿柎開(わたのはなしべひらく)8月23日頃
綿を包むガクが開き始める頃。綿の実がはじけ白いふわふわが顔をのぞかせた様子。
・天地始粛(てんちはじめてさむし)8月28日頃
天地の暑さがようやくおさまり始める頃。「粛」は縮む、しずまるという意味です。
・禾乃登(こくものすなわちみのる)9月2日頃
いよいよ稲が実り、穂を垂らす頃。「禾」は稲穂が実ったところを表した象形文字。

処暑(8月23日頃)
暑さが和らぐという意味。長く厳しかった夏もようやく暑さの峠を越し、朝夕は涼風が
吹き始めます。
初候:「綿柎開」(わたのはなしべひらく)
次候:「天地始粛」(てんちはじめてさむし)
末候:「禾乃登」(こくものすなわちみのる)
禾乃登(こくものすなわちみのる) 9月2日
稲穂に米が実り、日に日に熟していきます。「禾」は稲穂が垂れることをあらわした象
形文字だそうです。
出典: blog.livedoor.jp
稲穂に米が実り、日に日に熟していきます。「禾」は稲穂が垂れることをあらわした象
形文字だそうです。

二十四節気「白露(はくろ)」
・草露白(くさのつゆしろし)9月7日頃
草に降りた露が白く光って見える頃。朝夕の涼しさが際立ってきます。
・鶺鴒鳴(せきれいなく)9月12日頃
せきれいが鳴き始める頃。せきれいは日本神話にも登場し、別名は「恋教え鳥」。
・玄鳥去(つばめさる)9月17日頃
燕が子育てを終え、南へ帰っていく頃。来春までしばしのお別れです。
白露イメージ
白露(9月8日頃)
夜の間に大気が冷え、草花の上に朝露が宿るという意味。本格的な秋の訪れを感じる頃
です。
初候:「草露白」(くさのつゆしろし)
次候:「鶺鴒鳴」(せきれいなく)
末候:「玄鳥去」(つばめさる)
玄鳥去(つばめさる) 9月18日
春先に飛来した燕が日本で夏を過ごし子育てを終え、南へ帰っていきます。越冬先であ
る東南アジアやオーストラリアまでは数千キロメートルにも及ぶ旅が待っています。
出典: blog.livedoor.jp
春先に飛来した燕が日本で夏を過ごし子育てを終え、南へ帰っていきます。越冬先であ
る東南アジアやオーストラリアまでは数千キロメートルにも及ぶ旅が待っています。

二十四節気「秋分(しゅうぶん)」
・雷乃収声(かみなりすなわちこえをおさむ)9月23日頃
雷が鳴らなくなる頃。春分に始まり夏の間鳴り響いた雷も、鳴りをひそめます。
・蟄虫坏戸(むしかくれてとをふさぐ)9月28日頃
虫たちが土にもぐり、入口の戸をふさぐ頃。冬ごもりの支度をする時期です。
・水始涸(みずはじめてかるる)10月3日頃
田んぼの水を抜き、稲刈りの準備をする頃。井戸の水が枯れ始める頃との説も。
秋分(9月23日頃)
春分と同じく真東から昇った太陽が真西に沈み、昼と夜の長さがほぼ同じになります。
「暑さ寒さも彼岸まで」ということわざもあるように、この日を境にだんだんと寒さが
増していきます。
初候:「雷乃収声」(かみなりすなわちこえをおさむ)
次候:「蟄虫坏戸」(むしかくれてとをふさぐ)
末候:「水始涸」(みずはじめてかるる)
雷乃収声(かみなりすなわちこえをおさむ) 9月23日
雷が鳴り響かなくなる季節。夏の間、夕立とともにゴロゴロと鳴り響いていた雷も鳴り
を潜めてくる頃です。俳句の季語では「雷」は夏、「稲妻」は秋に分類されています。

二十四節気「寒露(かんろ)」
・鴻雁来(こうがんきたる)10月8日頃
雁が渡ってくる頃。清明の時期に北へ帰っていった雁たちが、再びやってきます。
・菊花開(きくのはなひらく)10月13日頃
菊の花が咲き始める頃。旧暦では重陽の節供の時期で、菊で長寿を祈願しました。
・蟋蟀在戸(きりぎりすとにあり)10月18日頃
戸口で秋の虫が鳴く頃。昔は「こおろぎ」を「きりぎりす」と呼びました。
寒露イメージ

寒露(10月8日頃)
寒露とは、文字の示す通り晩夏から初秋にかけて野草に宿る冷たい露のことを言います
。しんしんと深まりゆく秋、大気も安定して青く高い空、秋晴れの日が多くなる頃です
。
初候:「鴻雁来」(こうがんきたる)
次候:「菊花開」(きくのはなひらく)
末候:「蟋蟀在戸」(きりぎりすとにあり)
菊花開(きくのはなひらく) 10月13日
菊の花が美しく咲き始める頃。各地で菊の品評会や菊まつりが開かれます。
出典: pixabay.com
菊の花が美しく咲き始める頃。各地で菊の品評会や菊まつりが開かれます。

二十四節気「霜降(そうこう)」
・霜始降花(しもはじめてふる)10月23日頃
山里に霜が降り始める頃。草木や作物を枯らす霜を警戒する時期です。
・霎時施(こさめときどきふる)10月28日頃
ときどき小雨が降る頃。「霎」をしぐれと読むことも。ひと雨ごとに気温が下がります
。
・楓蔦黄(もみじつたきばむ)11月2日頃
楓(かえで)や蔦の葉が色づく頃。晩秋の山々は赤や黄に彩られ、紅葉狩りの季節です
。

霜降(10月23日頃)
朝晩の冷え込みがいっそう厳しくなり、朝霜が見られる頃。山や街も紅葉で美しく彩ら
れる季節です。
初候:「霜始降」(しもはじめてふる)
次候:「霎時施」(こさめときどきふる)
末候:「楓蔦黄」(もみじつたきばむ)
楓蔦黄(もみじつたきばむ) 11月2日
楓(かえで)や蔦の葉が赤や黄色に色づく季節。紅葉という言葉は、霜や時雨の冷たさ
に、葉が揉み出されるようにして色づくことから「揉み出づ」~「もみづ」~「もみじ
」と転訛したという説もあります。
出典: jp.pinterest.com
楓(かえで)や蔦の葉が赤や黄色に色づく季節。紅葉という言葉は、霜や時雨の冷たさ
に、葉が揉み出されるようにして色づくことから「揉み出づ」~「もみづ」~「もみじ
」と転訛したという説もあります。

二十四節気「立冬(りっとう)」
・山茶始開(つばきはじめてひらく)11月7日頃
山茶花(さざんか)の花が咲き始める頃。椿と混同されがちですが、先駆けて咲くのは
山茶花です。
・地始凍(ちはじめてこおる)11月12日頃
大地が凍り始める頃。サクサクと霜柱を踏みしめて歩くのが楽しみな時期です。
・金盞香(きんせんかさく)11月17日頃
水仙が咲き芳香を放つ頃。「金盞」は金の盃のことで、水仙の黄色い冠を見立てていま
す。
立冬イメージ

立冬(11月8日頃)
本格的な冬の始まり。「立」には新しい季節になるという意味があり立春、立夏、立秋
と並んで季節の大きな節目となります。
初候:「山茶始開」(つばきはじめてひらく)
次候:「地始凍」(ちはじめてこおる)
末候:「金盞香」(きんせんかさく)
金盞香(きんせんかさく) 11月17日
水仙の花が咲き始める頃。キク科のキンセンカとは異なります。昔、中国で水仙の花の
黄色い部分を黄金の杯に、白い花弁を銀の台にたとえ、「金盞銀台(きんせんぎんだい)
」と呼んだことが別称の由来だそうです。
出典: carlos07.at.webry.info
水仙の花が咲き始める頃。キク科のキンセンカとは異なります。昔、中国で水仙の花の
黄色い部分を黄金の杯に、白い花弁を銀の台にたとえ、「金盞銀台(きんせんぎんだい)
」と呼んだことが別称の由来だそうです。

二十四節気「小雪(しょうせつ)」
・虹蔵不見(にじかくれてみえず)11月22日頃
陽の光も弱まり、虹を見かけなくなる頃。「蔵」には潜むという意味があります。
・朔風払葉(きたかぜこのはをはらう)11月27日頃
北風が木の葉を吹き払う頃。「朔風」は北の風という意味で、木枯らしをさします。
・橘始黄(たちばなはじめてきばむ)12月2日頃
橘の実が黄色く色づき始める頃。常緑樹の橘は、永遠の象徴とされています。
小雪(11月23日頃)
気象庁の天気予報用語での「小雪」は「数時間降り続いても、降水量として1mmに達し
ない雪」だそうです。
初候:「虹蔵不見」(にじかくれてみえず)
次候:「朔風払葉」(きたかぜこのはをはらう)
末候:「橘始黄」(たちばなはじめてきばむ)
朔風払葉(きたかぜこのはをはらう) 11月27日
北風が木々の枝から紅葉や枯葉を吹き払う頃。「朔風」とは北から吹く風、北風のこと
です。
出典: blog.livedoor.jp
北風が木々の枝から紅葉や枯葉を吹き払う頃。「朔風」とは北から吹く風、北風のこと
です。


二十四節気「大雪(たいせつ)」
・閉塞成冬(そらさむくふゆとなる)12月7日頃
空が閉ざされ真冬となる。空をふさぐかのように重苦しい空が真冬の空です。
・熊蟄穴(くまあなにこもる)12月12日頃
熊が穴に入って冬ごもりする頃。何も食べずに過ごすため、秋に食いだめをします。
・?魚群(さけのうおむらがる)12月17日頃
鮭が群がって川を上る頃。川で生まれた鮭は、海を回遊し故郷の川へ帰ります。
大雪イメージ
大雪(12月7日頃)
山だけでなく平野にも降雪のある季節。寒さが日増しに厳しくなってゆきます。
初候:「閉塞成冬」(そらさむくふゆとなる)
次候:「熊蟄穴」(くまあなにこもる)
末候:「?魚群」(さけのうおむらがる)
熊蟄穴(くまあなにこもる) 12月12日
クマが冬眠するために、穴に入る時期。クマは小型の動物とは異なり冬眠中は中途覚醒
や、排便・排尿もしないそうです。飼育されているクマは冬眠はしないのだとか。
出典: ameblo.jp
クマが冬眠するために、穴に入る時期。クマは小型の動物とは異なり冬眠中は中途覚醒
や、排便・排尿もしないそうです。飼育されているクマは冬眠はしないのだとか。

二十四節気「冬至(とうじ)」
・乃東生(なつかれくさしょうず)12月22日頃
夏枯草が芽をだす頃。夏至の「乃東枯」に対応し、うつぼ草を表しています。
・麋角解(さわしかのつのおつる)12月27日頃
鹿の角が落ちる頃。「麋」は大鹿のことで、古い角を落として生え変わります。
雪下出麦(ゆきわたりてむぎのびる)1月1日頃
雪の下で麦が芽をだす頃。浮き上がった芽を踏む「麦踏み」は日本独特の風習です。

冬至(12月22日頃)
日照時間が減り、夏至と反対に夜が最も長く昼が短い日。冬至にかぼちゃを食べるのは
風邪を引かない、金運を祈願するというような意味があるそうです。
初候:「乃東生」(なつかれくさしょうず)
次候:「麋角解」(さわしかのつのおつる)
末候:「雪下出麦」(ゆきわたりてむぎのびる)
麋角解(さわしかのつのおつる) 12月27日
鹿の角が落ちる頃。麋とは大型の鹿の一種でヘラジカ、オオジカのことと言われます。
北米ではムース、エルクなどと呼ばれる鹿ですが日本には生息していません。雄の巨大
な角がこの時期になると脱落し生え変わります。
出典: jp.pinterest.com
鹿の角が落ちる頃。麋とは大型の鹿の一種でヘラジカ、オオジカのことと言われます。
北米ではムース、エルクなどと呼ばれる鹿ですが日本には生息していません。雄の巨大
な角がこの時期になると脱落し生え変わります。

二十四節気「小寒(しょうかん)」
・芹乃栄(せりすなわちさかう)1月5日頃
芹が盛んに育つ頃。春の七草のひとつで、7日の七草粥に入れて食べられます。
・水泉動(しみずあたたかをふくむ)1月10日頃
地中で凍っていた泉が動き始める頃。かすかなあたたかさを愛おしく感じる時期です。
・雉始?(きじはじめてなく)1月15日頃
雉が鳴き始める頃。雄がケーンケーンと甲高い声をあげて求愛します。
小寒イメージ

小寒(1月5日頃)
寒さが最も厳しくなる前、これから寒さが加わる頃という意味で、いわゆる「寒の入り
」です。小寒から節分までの30日間を「寒の内」といい、寒さが厳しくなり冬本番を迎
えます。
初候:「芹乃栄」(せりすなわちさかう)
次候:「水泉動」(しみずあたたかをふくむ)
末候:「雉始?」(きじはじめてなく)
芹乃栄(せりすなわちさかう) 1月5日
セリが盛んに生育する頃。冷たい沢の水辺で育つセリは春の七草のひとつとしてもよく
知られています。1月7日に無病息災を願って食べる「七草粥」にも入れられます。セリ
には鉄分が多く含まれ、増血作用が期待できるとも言われます。
出典: megandsue.com
セリが盛んに生育する頃。冷たい沢の水辺で育つセリは春の七草のひとつとしてもよく
知られています。1月7日に無病息災を願って食べる「七草粥」にも入れられます。セリ
には鉄分が多く含まれ、増血作用が期待できるとも言われます。

二十四節気「大寒(だいかん)」
・款冬華(ふきのはなさく)1月20日頃
雪の下からふきのとうが顔をだす頃。香りが強くほろ苦いふきのとうは早春の味。
・水沢腹堅(さわみずこおりつめる)1月25日頃
沢に厚い氷が張りつめる頃。沢に流れる水さえも凍る厳冬ならではの風景です。
・鶏始乳(にわとりはじめてとやにつく)1月30日頃
鶏が鳥屋に入って卵を産み始める頃。本来、鶏は冬は産卵せず、春が近づくと卵を産み
ました。
大寒(1月20日頃)
冬の最後の節気、一年で最も寒い時期です。
初候:「款冬華」(ふきのはなさく)
次候:「水沢腹堅」(さわみずこおりつめる)
末候:「鶏始乳」(にわとりはじめてとやにつく)
水沢腹堅(さわみずこおりつめる) 1月25日
沢に厚い氷が張りつめる頃。沢を流れている水さえも寒さに凍りつく厳しい冬の情景で
す。
出典: www.bionet.jp
沢に厚い氷が張りつめる頃。沢を流れている水さえも寒さに凍りつく厳しい冬の情景で
す。


雪の名前
四季折々の美しさを「雪月花」というように、雪には独特の魅力があり、それを表す言
葉もたくさん生まれました。言葉ひとつで雪の世界が広がります。


雪イメージ01

降る時期によって変わる雪の名前


・初めて降る雪は「初雪」
・例年より早く降る雪は「早雪」
・その冬初めて山々に積もる雪は「初冠雪」
・冬に別れを告げる最後の雪は「終雪」(しゅうせつ)
 「雪の別れ」「雪の果て」「雪の名残」ともいわれます。
・もうすぐ春という頃に名残を惜しむように降る雪は「名残雪」(なごりゆき)
 有名な歌もありますね。
・春になっても残る雪は「残雪」「去年の雪」(こぞのゆき)
・なかなか溶けずに残る雪は「根雪」
・1年中溶けない雪は「万年雪」

雪の状態を表した名前


・雪の美しさを表す「白雪」「雪花」(せっか)「深雪」(みゆき)
・細やかに降る雪のことを「細雪」(ささめゆき)
 谷崎潤一郎の小説や、歌謡曲にもありますね。
・粉のように細やかな雪のことを「粉雪」「米雪」(こごめゆき)
スキーをするならこんなパウダー・スノーがよいですね。「粉雪」というヒット曲もあ
りました。
・灰のようにふわふわ舞う雪は「灰雪」
・うっすらと積もってすぐ溶けてしまう雪は「泡雪」「淡雪」「沫雪」(あわゆき)
・比較的あたたかい時期に降る、玉の形をした雪を「玉雪」
・雪のひとひらが大きな雪を「綿雪」「牡丹雪」「花びら雪」
ひとひらの雪のことを雪片(せっぺん)といいます。
・玉雪や綿雪がややとけている状態を「餅雪」
・餅雪よりも水分の多い雪は「べた雪」「濡れ雪」
・べた雪と雨の中間は「水雪」
・風上の降雪地から、風にのって流されてきた雪は「風花」

積もった様子を表した名前や言葉



・雪が降り積もった様子を「銀世界」「銀雪」「雪化粧」
・積もったばかりの雪は「新雪」
・おめでたいときの雪は「瑞雪」
・とけたり凍ったりを繰り返してできた粗い雪は「粗目雪」(ざらめゆき)
・一度にたくさん降り積もると「どか雪」
・積もった雪で薄明るくなる様子を「雪明かり」
・雪が枝や葉に積もっている様子を「雪持ち」
・樹木などに積もった雪の様子は「綿帽子」
・常緑の松の枝葉に積もった雪を「松の雪」
・枝や屋根などから落ちる雪は「垂り雪」(しずりゆき)


雪イメージ02


ひとつひとつの雪の名前をみているだけで、その情景が浮かんできます。
 雪は降り方を表す言葉も多彩で、絶え間なく降る様子は「こんこん」、ひるがえりな
がら降る様子は「ちらちら」、軽やかに降る様子は「はらはら」、空中に漂う様子は「
ふわりと」「ふわっと」などと表現し、木の枝や屋根から落ちる雪は「どさっ」。

「豪雪」では風情などといってはいられないかも知れませんが、雪は冬の使者。雪の降
る様子に美しい名前や言葉を与えた日本人の感性を、私たちも大切にしたいですね。
※参考文献『日本語使いさばき辞典』(あすとろ出版)



「食べつなぐ」記事より
1)春は、
・もろこ焼き
・せり
せり、なづな、御形、はこべら、仏の座、すずな、すずしろ、これぞ七草。七草粥
・たけのこ、ふき  たけのこご飯
・わらび
・わけぎ(二月から三月が食べごろ)
・しじみ(北小松でもよくとれた)しじみと大豆煮
・いたどり(四月から五月)いたどりの煮つけ
春は山菜の季節、4月、5月と色々な味が楽しめます。
お浸しでは、 カツオブシをまぶし醤油をかけるとサッパリ味で美味しい。
酢味噌和えや天ぷらにするのも1つ。
ノカンゾウ、クサソテツ(コゴミ)、たらの芽、ぜんまいなどはいかがですか。
「春の山菜と言えば?」のランキングでは、わらび、ぜんまい、つくし、
などに混じって、たらの芽が、堂々のランクイン入りしてます。

2)夏は、
・ハス(小骨の多い魚であり、みそ焼きなどが美味しい)
・こあゆ(北小松などでは昔から大地引網で捕っていた)天ぷらにするのが美味しい
・ごり(ハゼ科のこ魚の俗称)ごり煮といわれる佃煮が美味しい
この季節、きゅうり、枝豆、そら豆、にしんなす、などの野菜が美味しい。



伝統工芸のランキング
http://shikinobi.com/yomimono/kensaku_ranking
美しい村
https://www.facebook.com/beautifulvillagesofjapan/photos/a.1536896626601259.10
73741828.1523382497952672/1572961406328114/?type=3&theater


社日
春分(3月21日頃)と秋分(9月23日頃)に最も近い戊(つちのえ)の日を「社日」とい
います。春の社日は「春社」、秋の社日は「秋社」とも呼ばれ、土地の神様をまつる日
とされています。

社日の由来

春の社日の頃は種まきの時期にあたり、秋の社日の頃は収穫の時期にあたります。その
ため社日は重要な節目と考えられ、春は五穀の種子を供えて豊作を祈り、秋は初穂を供
えて収穫を感謝するようになりました。
社日を祝う習慣は元々中国にあり、「土」という意味がある「戊」の日に豊作祈願をす
るもので、「社」とは土地の守護神のことを表しています。
この風習が日本に伝えられると、土地の神様を信仰する日本の風土に合い、重要な農耕
儀礼として全国に広まったようです。
地域で違う様々な行事

社日は「土の神」をまつるので、この日は農作業など、土をいじることを忌む風習が各
地に見られます。また、土地の守護神というよりも農耕の神様と捉える地域もあり、信
州の「お社日様」は春は神迎え、秋は神送りとして餅をついて祝ったといいます。
また、博多では古くから「お潮井」と呼ばれる箱崎浜の真砂を、「てぼ」という竹かご
に入れて持ち帰り、玄関先に下げておく風習があります。「災いを除き福を招くもの」
として、身を清めるお祓いに用いられたり、建物や土地のお祓いや田畑の虫よけなどに
もまいてお清めとします。
社日は、その土地ごとの神様を祝うので行事の形は様々です。


七十二候の最終候「鶏始乳」。からだを温める飲み物「たまご酒」。


1月30日から七十二候の「鶏始乳(にわとりはじめてとやにつく)」になります。春の
到来を感じた鶏が鳥屋に入って卵を産み始める頃という意味です。本来、鶏の産卵期は
春から夏にかけて。冬は産卵をしなかったのです。

鶏は、夜明けになると鳴いて朝を知らせます。天岩戸の神話では、岩屋に隠れてしまっ
た天照大神をなんとか外に出そうと様々なことが試されますが、その中のひとつが「長
鳴き鳥を鳴かせてみる」ということでした。この長鳴き鳥というのは鶏のこと。ただ、
神話では天照大神を岩屋から出すことはできなかったようです。

「鶏始乳」は七十二候の最後の候。次は、第一候の立春!いよいよ春ですね。
とはいうものの、寒さはまだまだ続くので風邪に注意しましょう。予防にはうがい、手
洗いはもちろんですが、からだを芯から温めてゆっくり休むのも大切です。そんな時に
おすすめなのは、昔ながらの「たまご酒」。

たまご酒補正DSC_3143.jpg

卵は良質のたんぱく質が豊富です。また、卵白に含まれる「リゾチーム」という酵素は
風邪薬にも使われている成分で、殺菌効果と免疫力を高める働きがあるそうです。卵は
半熟が最も消化の良い状態ですから、お酒に溶かして飲むたまご酒は、効率良く栄養成
分を摂取でき、日本酒の効果でさらにぽかぽか。
たまご酒のおいしい作り方をご紹介していますので、ぜひお試しください。

【季節のめぐりと暦】七十二候
http://i-nekko.jp/meguritokoyomi/shichijyuunikou/
【食の歳時記・旬の味】たまご酒
http://www.i-nekko.jp/shoku/2016-012710.html


「初午」は2月の最初の午の日。この日は稲荷神のお祭りで、全国各地の稲荷神社で豊
作、商売繁盛、開運、家内安全を祈願します。稲荷神のお使いといわれるキツネの好物
の油揚げや、初午団子を供える風習もあります。

初午の由来



稲荷神社は全国に約4万社。農業、漁業、商売、家庭円満にご利益があるとされ、京都
市伏見区の伏見稲荷大社が総本社です。伏見稲荷によると、和銅4年(711年)の2月の
最初の午の日に、祭神が稲荷山(伊奈利山)の三箇峰に降りたという故事から、稲荷神
を祭る祭事が行われるようになったとされます。


初午イメージ


旧暦2月の初午の日は今の3月にあたり、ちょうど稲作を始める時期だったため、農耕の
神様を祭るようになりました。稲荷の名は「稲生り」から来たともいわれています。
また、その日から習い事を始めるという風習もありました。

初午は伏見稲荷をはじめ大阪の玉造稲荷、愛知県の豊川稲荷など、各地の稲荷神社で盛
大に祭がとり行われます。ご近所のお稲荷さんにも赤いのぼりが立ち、賑やかになるで
しょう。初午の日には、赤飯や油揚げ、団子などを供えて祭ります。

初午のお供え物

いなり寿司



稲荷神社といえばきつねがつきもの。きつねは稲荷神のお使い役で油揚げが大好物。初
午の日には、油揚げや油揚げにすし飯を詰めたものを奉納しました。これが、いなり寿
司の始まりで、きつねの大好物の油揚げを人間もたくさん食べられるよう考案されまし
た。稲荷神社もいなり寿司も親しみを込めて「おいなりさん」と呼ばれています。
いなり寿司は、東日本では米俵に見立てた俵型ですが、西日本ではきつねの耳に見立て
た三角が主流です。


いなり寿司イメージ

しもつかれ


また、初午の行事食として有名なのが、栃木県を中心に北関東に伝わる「しもつかれ」
です。鮭の頭と、鬼おろしですった大根やにんじん、油揚げ、大豆、酒粕と煮る煮つけ
で、おせち料理や節分の豆の残りなどをうまく使った栄養満点の郷土料理です。

※しもつかれについて詳しくはこちらをご覧ください。 → しもつかれ

初午団子


初午には蚕の神様を祀る行事も行われました。養蚕をしている家では、繭がたくさんで
きるようにと願い、餅粉で繭の形に作った団子をお供えしました。地域によっては、団
子を繭玉に見立てて中に小豆を一粒入れたり、ざるの中にマブシ(わらのようなもの)
を入れて蚕が繭を作るように飾ったり、繭がシミにならないよう醤油をつけずに食べた
りします。
また、初午団子をたくさん振る舞うと、繭から毛羽をとる「繭かき」の作業が賑やかに
なってよいといわれ、近所の家に配る風習もありました。

十二支の中の「初」祭事


十二支には「初午」のほか、「初」をつけてその時期にふさわしい催事を行う風習があ
ります。

・初子(はつね):正月または11月の最初の子の日
 正月最初の子の日には、野に出て小松引きや若菜摘みなどの子の日遊びが行われ、11
月最初の子の日には、商家では大黒天を祀った。

・初丑(はつうし):夏の土用のうちの最初の丑の日
 鰻を食べたり、丑湯に入ったりする風習がある。

※初丑について詳しくはこちらをご覧ください。 → 土用

・初寅(はつとら):正月最初の寅の日
 福徳を願って毘沙門天に参詣する風習がある。

・初卯(はつう):正月最初の卯の日
 初卯詣が行われる。

・初辰(はつたつ):正月最初の辰の日
 防災のまじないをする日。
 大阪の住吉大社では、月の初めの辰の日に「初辰まいり」を行い、48回で四十八辰=
始終発達するとされている。

・初巳(はつみ):正月最初の巳の日
 弁財天に参詣する風習がある。

・初申(はつざる):旧暦2月の最初の申の日
 奈良の春日神社の祭典が行われる。

・初酉(はつとり):正月または11月の最初の酉の日
 浅草鷲神社の祭礼がある。酉の市も各所で開かれる。


※初酉について詳しくはこちらをご覧ください。 → 酉の市

・初亥(はつい):正月最初の亥の日
 摩利支天(まりしてん)の縁日がある。

二十四節気の最初の節気ということで、立春を基準にさまざまな節目が決められていま
す。
また、旧暦では立春のころに元日がめぐってきて、立春と正月はほぼ重なっていました
。必ずしも立春=元日にならないのは、二十四節気は太陽の動き、元日は月の動きで決
められていたからです。
いずれにしても、立春が新しい年の始まりであり、「新春」「迎春」などの言葉にその
名残がみられます。

春冬至と春分の中間にあたるのが立春。暦の上の春は、立春から立夏の前日までをさし
ます。
節分立春の前日。豆をまくなど、邪気を祓う風習があります。
八十八夜立春から数えて88日め。この日に摘んだお茶はよいお茶になるといわれていま
す。
二百十日立春から数えて210日め。台風が来ることが多いとされています。収穫間近の
ころにやってくる台風は、稲作の大敵です。
二百二十日立春から数えて220日め。二百十日とともに農家の厄日とされています。現
代ではこの日の方が台風と重なることが多いです。
立春正月

立春を華やかに祝う国としては中国が有名。横浜の中華街では毎年「春節(しゅんせつ
)」のイベントを開催し、獅子舞や爆竹で祝います。

立春大吉

立春の早朝、禅寺の門に貼り出される文字。「立春大吉」の文字は左右対称で縁起がよ
く、厄除けになるといわれています。

今日は2月8日、「事八日」の日。
実は2月8日は「事始め」の日でもあり、「事納め」の日でもある、「事」を始めたり納
めたりする大事な日とされてきました。
「事」とは、もともと祭りあるいは祀りごとを表す言葉で、コトノカミという神を祀る
おまつりの日です。そのおまつりが12月8日と2月8日の2回あり、「事八日」「事の日」
などといわれました。コトノカミが「年神様」か「田の神様」かで、事始めと事納めの
時期が逆転するのです。
詳しくはこちらをご覧ください。理由を知れば「なるほどね!」と納得がいきますよ。

【暮らしを彩る年中行事】事始め・事納め
http://i-nekko.jp/nenchugyoji/sonohoka/kotohajime/

また、事八日には「針供養」が行われます。
針供養とは、古くなった針や、折れたり曲がったりした針、さびた針などを神社に納め
て供養し、裁縫の上達を願う行事です。その昔、針仕事は暮らしに欠かせない仕事でし
た。針供養では、役目を終えた針に感謝して、こんにゃくや豆腐に刺して拝みます。針
供養は道具に感謝しながら大切に使ってきた日本人の心がうかがえる美しい風習です。
地方や神社によっては12月8日に針供養を行うところもあります。

pixta_17260553_S針供養.jpg

また、事八日には「お事汁」を食べるという風習もあります。お事汁とは、里芋、大根
、にんじん、ごぼう、こんにゃく、小豆などを入れた味噌汁で、これを食べて無病息災
を願います。地方によって入れる具材はいろいろあるようですが、野菜がたっぷりとれ
るので、ビタミン、ミネラル、食物繊維が豊富。寒い季節に体の芯から温まる伝統の健
康長寿食といえますね。作り方はこちらでご紹介しています。

【四季と行事食】お事汁
http://www.i-nekko.jp/gyoujishoku/fuyu/otoso/index.html

そして、明日からは七十二候の第2候「黄鴬?睆(うぐいすなく)」です。山里で鴬が
鳴き始める頃。春の訪れを告げる鴬は「春告鳥(はるつげどり)」とも呼ばれます。「
梅に鶯」とよくいいますが、梅の花も早春一番に開花するおめでたい花。このふたつの
取り合わせは人々の理想のイメージで、「取り合わせが良いふたつのもの。美しく調和
するもの」という意味があります。
各地で梅まつりも開かれる頃です。早春のお出かけ先にぴったりですね。




二十四節気「雨水」。大地に芽吹く「蕗の薹」はほろ苦い春の味。


2月19日は二十四節気の「雨水」。
「雨水」とは、雪が雨に変わり、氷が溶けて水になる頃という意味。実際にはまだ雪深
いところも多く、これから雪が降り出す地域もありますが、ちろちろと流れ出す雪溶け
水に、春の足音を感じます。草木が芽生える頃で、昔から農耕の準備を始める目安とさ
れてきました。

もうじきひな祭りを迎えますが、ひな祭りの由来には水が関係しているので、雨水にひ
な人形を飾り始めると、良縁に恵まれるといわれています。おひな様を飾る家はぜひ将
来の幸せを願って、雨水に飾ってあげましょう。ひな人形の飾り方にもいわれがあるの
で、イラスト付きで解説しています。飾るときの参考にしてくださいね♪

【暮らしを彩る年中行事】五節供とは/上巳:桃の節供
http://i-nekko.jp/nenchugyoji/gosekku/jyoushi/

また、七十二候では「土脉潤起」(つちのしょううるおいおこる)に入ります。これも
、雪がしっとりとした春の雨に変わり、大地が潤い始める頃という意味で、「雨水」と
同様、春はもうすぐそこまで来ているよ、と教えてくれます。

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そして、雪解けの大地からちょこんと顔をだすのが蕗の薹。春の兆しの象徴ともいえま
す。
春の山菜には独特の苦みがありますが、この天然の苦味や辛味が冬の間に縮こまってい
たからだに刺激を与えて目覚めさせ、活動的にしてくれるといいます。蕗の薹も独特の
香りや苦みがありますが、これが春を感じさせるおいしさともいえますね。

じつはこの苦みやえぐみがからだにはとても良いもの。この苦味成分は、抗酸化作用の
あるポリフェノール類で、新陳代謝も促進してくれます。
蕗の薹はスーパーなどの店頭でも手に入るので、早春の味を楽しんでみませんか?蕗の
薹の定番、「蕗みそ」や「天ぷら」、「蕗の薹ごはん」などをご紹介しています。

【季節のめぐりと暦】二十四節気
http://i-nekko.jp/meguritokoyomi/nijyushisekki/
【季節のめぐりと暦】七十二候
http://i-nekko.jp/meguritokoyomi/shichijyuunikou/
【食の歳時記・旬の味】蕗の薹
http://www.i-nekko.jp/shoku/2016-021710.html
【四季と行事食】春/山菜
http://www.i-nekko.jp/gyoujishoku/haru/sansai/index.html
【暮らしを彩る年中行事】五節供とは/上巳:桃の節供
http://i-nekko.jp/nenchugyoji/gosekku/jyoushi/

3月15日から七十二候では「菜虫化蝶(なむしちょうとなる)」。青虫がモンシロチョ
ウになる頃という意味です。「菜虫」とは大根やかぶ、アブラナなどの葉を食べる青虫
のことです。畑を荒らす害虫の青虫がさなぎとなって冬を越し、春になると優雅な蝶へ
と生まれ変わります。花から花へと飛び回り、今度は花粉を運んでくれるようになるの
は、何とも不思議な気がします。暖かな春の日差しを浴びてひらひらと蝶が飛ぶ姿は、
かわいくもあり、はかなげでもありますね。

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また、3月16日は「十六団子」の日。田の神様が山から里へ下りてきて、これから始ま
る農作業を見守り、秋の収穫が済むと山に帰っていくという信仰があり、田の神様が来
る3月と帰っていく10月または11月の16日には、16個の団子を作ってお供えをしました
。今でも東北地方の一部ではこの風習が続いています。

さて、春を迎えるこの時期、日本各地には「春告げ魚」と呼ばれる魚たちがいます。た
とえば、春の季語にもなっている「鰆(さわら)」。「魚」偏に「春」と書くように、
瀬戸内海を中心に春に旬を迎え、春の訪れを知らせる魚です。北国では、春告げ魚とい
えばかつては「鰊(にしん)」でしたが、不漁のため鰊に変わってメバルが春告げ魚と
呼ばれるようになってきました。この他にも兵庫県のイカナゴ、伊豆諸島のハマトビウ
オ、また、渓流釣りでは3月に解禁されることからアマゴやヤマメなども春告げ魚と呼
ばれます。
春先になるとぴちぴちと元気に集まってくる魚たちに、人は親しみを込めて「春告げ魚
」と呼んだのでしょう。詳しくはこちらをご覧ください。

【食の歳時記・旬の味】春告げ魚
http://www.i-nekko.jp/shoku/2016-031310.html
【季節のめぐりと暦】七十二候
http://i-nekko.jp/meguritokoyomi/shichijyuunikou/

3月20日は春分。春分の日は、昼と夜の長さがほぼ同じになり、この日を境に昼の時間
が少しずつのびていきます。春分の日を中日とした7日間が春の彼岸。「暑さ寒さも彼
岸まで」というように、春めいた日が多くなって来るでしょう。
また、七十二候では「雀始巣(すずめはじめてすくう)」になります。雀が巣を作り始
める頃で、多くの小鳥たちが繁殖期を迎えます。

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彼岸には先祖のお墓参りをする習慣がありますが、それは、仏教ではあの世(彼岸:ひ
がん)は西に、この世(此岸:しがん)は東にあるとされ、太陽が真東から昇って真西
に沈む春分の日と秋分の日は、あの世とこの世が最も通じやすい日と考えられたからで
す。お墓参りに出かけ、家族の元気な姿を見せるのも先祖供養のひとつですね。
お墓参りには厳格なしきたりなどはありませんが、基本的なマナーは押さえておきたい
もの。こちらを参考にしてくださいね。
【暮らしの作法】お墓参りの作法
http://www.i-nekko.jp/sahou/omairi/sahou/index.html

また、祝日法によると、春分の日は「自然をたたえ、生物をいつくしむ日」なんだそう
です。確かに、日差しも明るくなり、寒そうに枝を震わせていた木々に若葉が芽生え、
花の蕾もほころんで、生命の息吹を身近に感じる頃です。わが家の近くの公園の早咲き
の桜はもう満開。暖かくなって再開したウォーキングの楽しみのひとつです。

【季節のめぐりと暦】七十二候
http://www.i-nekko.jp/meguritokoyomi/shichijyuunikou/
【季節のめぐりと暦】雑節/彼岸
http://www.i-nekko.jp/meguritokoyomi/zassetsu/higan/index.html
【季節のめぐりと暦】二十四節気
http://www.i-nekko.jp/meguritokoyomi/nijyushisekki/
【暮らしの作法】お墓参りの作法
http://www.i-nekko.jp/sahou/omairi/sahou/index.html

3月25日から、七十二候では「桜始開(さくらはじめてひらく)」になります。
今年は3月19日に福岡と名古屋で、全国に先がけ桜の開花を発表。福岡は平年より4日、
昨年より3日早く、名古屋は平年より7日早く、昨年より2日早い開花となっています。
東京も21日に開花宣言が出され、桜前線は着々と北上中。日本中が待ち望む、お花見の
季節の到来です。

pixta_21008160_Sソメイヨシノ.jpg

都内ではこの週末頃が満開の時期と予想されているので、お花見の計画をしている方も
多いでしょう。
花見の歴史は古く、平安貴族たちは桜を春の花の代表格として愛で、歌を詠み、花見の
宴を開いて楽しんだそうです。江戸時代からは庶民の春の行楽としても親しまれるよう
になりました。江戸時代は、園芸が盛んになった時代でもあり、桜の品種改良が進んだ
ことで、身近な場所でお花見が楽しめるようになったのです。三代将軍家光が上野や隅
田河畔に桜を植え、八代将軍吉宗は飛鳥山を桜の名所にし、花見の場も増えました。こ
れらは今でも東京のお花見の名所になっています。

このように桜は古くから親しまれており、春の気候や情景を表すことばにも「桜」が使
われているものがたくさんあります。例えば、満開時期の「こぼれ桜」、散りゆく様の
「花筏」や「花吹雪」、夜桜見物では「花冷え」の中、幻想的な「花明かり」を楽しむ
なんてお花見はいかがですか。
桜にまつわる美しいことばやお花見の歴史などについてご紹介しています。

【季節のめぐりと暦】七十二候
http://i-nekko.jp/meguritokoyomi/shichijyuunikou/
【暮らしの中の歳時記】桜にまつわることば
http://www.i-nekko.jp/kurashi/2016-032310.html
【暮らしを彩る年中行事】お花見
http://www.i-nekko.jp/nenchugyoji/ohanami/
【暮らしを彩る年中行事】桜の種類
http://www.i-nekko.jp/nenchugyoji/ohanami/sakura/
【四季と行事食】桜餅
http://www.i-nekko.jp/gyoujishoku/haru/sakuramochi/index.html


月30日から、七十二候では「雷乃発声(かみなりすなわちこえをはっす)」に入ります
。冬の間は鳴りを潜めていた雷が、遠くの空でゴロゴロと鳴り始め、春の訪れを告げる
頃です。「春雷(しゅんらい)」は「虫出しの雷」とも呼ばれ、冬の間隠れていた虫た
ちも活動し始めます。

この頃に旬を迎える魚に真鯛があります。桜が咲く頃、産卵期を迎えて脂がのり、ひと
きわおいしい鯛としてこの時期は「桜鯛」という名で呼ばれています。「サクラダイ」
という魚もいるのですが、これはスズキ目ハタ科サクラダイ属に属している別の魚。食
用で出回っているのもあまり見かけません。

お祝いごとに付き物の真鯛は、その赤い色が美しく、姿かたちが立派で味も優れている
ということで、古来より日本人に親しまれてきました。「古事記」や「延喜式」にも登
場し、朝廷への貢物として使われていたことがうかがえます。江戸時代になると将軍家
に献上するため、江戸に鯛が集められるようになりました。

pixta_3134088_S鯛茶漬け.jpg

「目の下一尺」といわれ、体長40~50㎝くらいのものがおいしいそうです。お刺身はも
ちろん、煮ても焼いてもおいしい真鯛。尾頭付きの真鯛はお祝い事でもないとあまり買
うことがありませんが、お刺身なら手軽です。ひと手間かけて鯛茶漬けなどにすると、
ちょっとぜいたくな気分になれます。真鯛の刺身を醤油とみりんに漬けこみ、お好みの
薬味とともにごはんにのせて熱い煎茶を注ぎます。お好みでだし茶漬けにしても良いで
すね。

【季節のめぐりと暦】七十二候
http://i-nekko.jp/meguritokoyomi/shichijyuunikou/


4月8日または月遅れの5月8日には「花祭り」が行われます。
正式には「灌仏会(かんぶつえ)」、「仏生会(ぶっしょうえ)」と呼ばれる行事で、
仏教の開祖お釈迦様の誕生日とされています。
花いっぱいの「花御堂」にお釈迦様の誕生の姿を表した「誕生仏」が飾られ、その頭上
から甘茶をかけてお参りしますが、この日に振る舞われた甘茶を飲むと、無病息災にな
るといわれています。なぜ誕生仏に甘茶をかけるのか。また、誕生仏の姿が表す教えに
ついてなど、詳しくはこちらをご覧ください。
【暮らしを彩る年中行事】灌仏会
http://www.i-nekko.jp/gyoji/2016-040510.html

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多くの方が日常では仏教とあまり接点がないといいますが、実は身近な言葉の語源にな
っていることも多く、私たちの生活に深く根付いています。
例えば
「有頂天」=仏教の三界(無色界、色界、慾界)の頂点(無色界)を指し、調子に乗っ
て良い状態から落ちないように戒める言葉。
「ありがとう」=たくさんの生き物の中で人間に生まれるのは非常に確率の低い「有り
難い」ことなので、人として生まれたこと自体に感謝しなさいという教えによるもの。
「経営」=「自分自身をどう生かすか」という仏教用語。
「往生」=極楽浄土に往って生まれ変わるという意味。
「玄関」=奥深い仏の道への入り口という意味。
など、ちょっと意外ですね。

また、4月9日からは、七十二候の「鴻雁北(こうがんかえる)」です。燕が南からやっ
て来る季節には、北に帰って行く鳥もいます。雁もそういう渡り鳥で、夏場をシベリア
で過ごすため、渡って行きます。

青森県津軽の外ヶ浜付近では、浜に打ち寄せられた木片を集めて風呂を焚く風習があり
、「雁風呂(がんぶろ)」といいます。この地方に伝わる民話によると、秋に雁が海を
渡って来るとき、海面に浮かべて休むための小枝を1本くわえて来るそうです。浜に着
くと小枝を落とし、次の春、また北へ帰るとき、同じ小枝を拾って帰るのだそうです。
ところが、雁たちが小枝を落とした浜には、春になっても拾われない小枝が残ります。
それは冬の間に死んでしまった雁たちのもの。浜の人たちは供養のためにその枝で風呂
を焚き、旅人たちに振る舞ったということです。じんわりと心に残るお話ですね。
「雁風呂」は春の季語や、落語の一席にもなっています。

【暮らしを彩る年中行事】灌仏会
http://www.i-nekko.jp/gyoji/2016-040510.html
【季節のめぐりと暦】七十二候
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「十三詣り」で知恵もらい。七十二候「虹始見」、虹は何色?


旧暦3月13日、現在は4月13日に行われる「十三詣り」は、子どもの健やかな成長を願う
行事のひとつです。数え年で13歳になる子どもたちが13番目に生まれた「虚空蔵菩薩」
に参拝します。13歳は干支が一回りして最初に戻った初めての年であり、子どもがここ
まで成長したことを祝い、感謝を捧げます。また、最初の厄年の厄を払い、無病息災を
願います。関東ではあまり一般的ではありませんが、関西では盛んに行われています。

虚空蔵菩薩は、知恵や福徳を司るので、参拝すると大人として必要な知恵を授かるとさ
れています。そのため十三詣りは別名「知恵詣」「知恵もらい」ともいいます。ただし
、参拝の後、途中で後ろを振り返ってしまうと、いただいた知恵を落としてしまうので
、鳥居を出るまで振り返ってはいけないと伝えられています。十三詣りで有名な京都の
法輪寺では、桂川にかかる長い橋、渡月橋を渡り終えるまで振り返るのはNG。大人にな
るための最初の試練かもしれませんね。

また、4月14日から七十二候の「虹始見(にじはじめてあらわる)」になります。冬の
間、乾燥していた大気が潤うようになり、雨上がりの空に虹がかかるようになるという
意味です。淡く、消えやすい春の虹も次第にくっきりとしてきます。

その虹の色ですが、何色あるかご存じですか?「虹は七色に決まっている。そんなの常
識」という声が聞こえてきそうですが、実は世界から見れば常識とはいえないようです
。

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ちなみに虹の色は「赤、橙、黄、緑、青、藍、紫」の7色と私たちは思っていますが、6
色、5色、さらにはたった2色というところもあるのです。
同じ虹を見ているのに、どうしてでしょうか。詳しくはこちらをご覧くださいね。
【暮らしの中の歳時記】虹は何色?
http://www.i-nekko.jp/kurashi/2016-041110.html

【暮らしの作法】人生の通過儀礼/十三詣り
http://www.i-nekko.jp/sahou/tsuukagirei/jyuusanmairi/index.html
【季節のめぐりと暦】七十二候
http://www.i-nekko.jp/meguritokoyomi/shichijyuunikou/
【暮らしの中の歳時記】虹は何色?
http://www.i-nekko.jp/kurashi/2016-041110.html

雑節「春の土用」。旬の味「アスパラガス」をおいしく。


4月16日から雑節の春の土用に入ります。立夏の前の18日間が春の土用です。
土用は立春、立夏、立秋、立冬前の18日間(または19日間)をさし、年に4回あります
が、これは中国の陰陽五行説からきています。万物の根源とされる「木火土金水」を四
季にあてはめると、春=木、夏=火、秋=金、冬=水になり、土が余ってしまいます。
そこで「土」を立春・立夏・立秋・立冬前の約18日間にあてはめ、土用としました。う
なぎでお馴染みの「土用の丑の日」は、立秋前の夏の土用となります。

今ではほとんど気にしなくなりましたが、昔は土用に土を掘り起こすようなことはして
はいけないと言われていました。土用は土を司る土公神(どくじん/どこうじん)とい
う神様が支配する期間なので、土いじりをして神様を傷つけてはいけないと考えられた
からです。
でも、18日間、年に4回も農作業や工事などができないのは困りもの。そこで、考えら
れたのが「土用の間日」です。土公神が天上にのぼっている日は土いじりをしても良い
とされ、春は巳・午・酉にあたる日が間日なので、今回は、4月17日、18日、21日、29
日、30日、5月3日が土用の間日です。雑節というのは農作業との関わりが強いので、季
節の変わり目にあたる土用の時期に、農作業で体調を崩さないようにするための戒めで
もあったようです。

花や野菜の苗を植えるのに良い季節ですね。間日を選んで植えてみてはいかがでしょう
か。花や実の付きがよくなったりすると良いですね。

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さて、今が旬の野菜にアスパラガスがありますね。グリーンアスパラガスは一年中出回
っていますが、生のホワイトアスパラガスは今だけしか出回らないので、毎年楽しみに
しています。このグリーンアスパラガスとホワイトアスパラガスは実は同じ種類のもの
。栽培方法の違いで、見た目も味も異なるアスパラガスになりました。アスパラガスの
調理のポイントなどをご紹介しています。

【季節のめぐりと暦】雑節/土用
http://i-nekko.jp/meguritokoyomi/zassetsu/doyou/
【食の歳時記・旬の味】アスパラガス
http://www.i-nekko.jp/shoku/2016-041410.html



 「食べつなぐ」記事より
1)春は、
・もろこ焼き
・せり
せり、なづな、御形、はこべら、仏の座、すずな、すずしろ、これぞ七草。七草粥
・たけのこ、ふき  たけのこご飯
・わらび
・わけぎ(二月から三月が食べごろ)
・しじみ(北小松でもよくとれた)しじみと大豆煮
・いたどり(四月から五月)いたどりの煮つけ
春は山菜の季節、4月、5月と色々な味が楽しめます。
お浸しでは、 カツオブシをまぶし醤油をかけるとサッパリ味で美味しい。
酢味噌和えや天ぷらにするのも1つ。
ノカンゾウ、クサソテツ(コゴミ)、たらの芽、ぜんまいなどはいかがですか。
「春の山菜と言えば?」のランキングでは、わらび、ぜんまい、つくし、
などに混じって、たらの芽が、堂々のランクイン入りしてます。

2)夏は、
・ハス(小骨の多い魚であり、みそ焼きなどが美味しい)
・こあゆ(北小松などでは昔から大地引網で捕っていた)天ぷらにするのが美味しい
・ごり(ハゼ科のこ魚の俗称)ごり煮といわれる佃煮が美味しい
この季節、きゅうり、枝豆、そら豆、にしんなす、などの野菜が美味しい。

 
4月25日から七十二候では「霜止出苗(しもやみてなえいずる)」になります。ようや
く霜が降りなくなり、苗代では種もみが芽吹いて青々とした苗に育っていく頃という意
味です。そろそろ田植えの準備が始まり、忙しくも活気に満ちた農家の様子が目に浮か
ぶようです。 

さて、この時期ならではの楽しみの一つに「潮干狩り」があります。
潮干狩りが庶民の娯楽となったのは江戸時代。以来、大人も子どもも楽しめる春のレジ
ャーとして人気です。
主に獲れるのはあさりですが、あさりが太るのは春と秋。海の水も温み始める今頃があ
さりの旬です。あさりは古代から食用とされており、どこの干潟でも漁ると手軽に獲れ
たから「漁る」が転じて「あさり」になったといわれています。運が良ければはまぐり
なども獲れるかもしれませんね。

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潮干狩りにベストなのは春から夏の大潮の日。干潮の2時間前から干潮までの時間帯で
楽しむのがポイントです。
海上保安庁では日本の各管区の「潮干狩り情報(カレンダー)」をHPで提供しています
。
http://www1.kaiho.mlit.go.jp/JODC/SODAN/shiohigari_calender/default.htm

ちなみに東京湾での次の大潮は5月の6日から10日の昼前後です。
せっかく出かけたならたくさん獲って帰りたいもの。持ち物などの準備や獲り方のコツ
をご紹介します。ゴールデンウィークは潮干狩りを楽しんでみてはいかがでしょうか?

【暮らしを彩る年中行事】ゴールデンウィーク
http://i-nekko.jp/nenchugyoji/sonohoka/gw/index.html
【暮らしの中の歳時記】潮干狩り
http://www.i-nekko.jp/kurashi/2015-042817.html

七十二候では明日から「牡丹華(ぼたんはなさく)」になります。花々が咲き乱れる中
、「百花の王」といわれる牡丹の花が開花する頃。全国各地の牡丹園では、艶やかな牡
丹の花が訪れる人の目を楽しませてくれるでしょう。

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牡丹は中国原産の落葉低木で、日本には奈良時代に伝わったという説があります。古く
から観賞用として栽培され、その美しさから昔から「立てば芍薬(しゃくやく)、座れ
ば牡丹、歩く姿は百合の花」と美人を表すことばにもなっています。この3つの花は容
姿だけはなく、立ち居振る舞いも美しい、そんな美人を表しているようです。容姿はと
もかく立ち居振る舞いだけでも、努力次第では美人に近づけるでしょうか......。

5月15日からは七十二候の「竹笋生(たけのこしょうず)」。筍が出てくる頃という意
味です。筍は古来よりまっすぐに育つとあって縁起の良いもの。生命力を凝縮したよう
な身はみずみずしく、野趣深いもの。シャキシャキとした食感も楽しめます。

竹冠に旬と書いて「筍」。旬は一旬、上旬、中旬、下旬などというように、10日ほどの
期間を表す言葉です。筍は成長が早く、10日ぐらいで竹になってしまうのでこの字が当
てられたそうです。

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竹にも種類があり、孟宗竹(もうそうちく)は3月中旬から5月にかけてが旬。その後、
淡竹(はちく)、真竹、根曲がり竹が旬を迎えます。孟宗竹は地面から穂先を出さない
うちに掘り出したものはアクがないそうですが、日にあたってしまうとアクが回ります
。

朝掘りといわれるように、朝掘ってすぐ食べるのが一番おいしい食べ方。朝掘り筍は穂
先をそのまま薄く切り、刺身にして食べられます。産地ならではのおいしい食べ方です
ね。
朝掘りとまではいかずとも皮付きの筍が手に入れば、甘みがあって香りの良い旬の筍料
理を家でも楽しめます。筍はアク抜きが肝心。最近は糠付きで販売していることも多い
ので、糠を加えて1時間ほどゆで、冷めるまでそのまま置きます。糠がないときはたっ
ぷりの米のとぎ汁で同じく1時間ほどゆでると良いでしょう。

筍といえば「筍ごはん」。筍を醤油、みりん、酒で煮たら、煮汁ごと炊き込みましょう
。
一口大に切った筍をだし汁と醤油、みりんで煮て大量のかつお節をかけた「土佐煮」や
、わかめと合わせた「若竹煮」なども定番中の定番。旬の味を楽しんでみてはいかがで
しょう。

また5月15日は、京都三大祭りである「葵祭」が行われます。
5月の葵祭(あおいまつり)、7月の祇園祭(ぎおんまつり)、10月の時代祭(じだいま
つり)が「京都三大祭り」といわれており、中でも「葵祭」は、平安貴族の姿そのまま
の優雅な王朝行列が、京都御所から下鴨神社を経て上賀茂神社へ向かう、京都三大祭り
を代表する祭りです。平安中期の貴族の間では「祭り」といえば「葵祭」を指しました
。
詳しくはこちらをご覧ください。
【季節の行事】京都三大祭り「葵祭」
http://www.i-nekko.jp/gyoji/2016-050210.html