2016年1月27日水曜日

春ー立春から穀雨まで

二十四節気(にじゅうしせっき)、七十二候(しちじゅうにこう)とは
「春分」「冬至」などよく耳にするのが「二十四節気」で1年を24等分して約15日ごと
に分けた季節のこと。実際の日本の気候とは若干のずれがあるが、季節を味わう
と言う点では、大いに参考となる。また、「七十二候」は半月ごとの季節変化を表す
「二十四節気」をさらに約5日おきに分け、気象の動きや動植物の変化を知らせる
もので、日本の気候や風土に合うよう江戸時代に入ってから何度か改定されている、
とのこと。
七十二候の名称は、気候の変化や動植物の様子が短い文で表されているが、
この志賀の里に生活していると、多くはその時期の「兆し」を伝え、繊細な季節の
うつろいを感じさせてくれる。言葉の深みと周りの景観との整合性に、ここに
住んでいることへの感謝に溢れる。

1.二十四節気「立春(りっしゅん)」
立春(2月4日頃)
立春は一年のはじめとされ、季節の節目はこの日が起点になっている。まだまだ寒い
ですが、暦上ではこの日から春となる。
・東風解凍(はるかぜこおりをとく)2月4日頃
春の風が川や湖の氷を解かし始める頃。「東風」(こち)とは春風を表す代名詞。
・黄鴬?睆(うぐいすなく)2月9日頃
山里で鴬が鳴き始める頃。春の訪れを告げる鴬は「春告鳥」(はるつげどり)とも
呼ばれるが、我が家の梅ノ木にもその姿が見え始める。
・魚上氷(うおこおりをいずる)2月14日頃
水がぬるみ、割れた氷の間から魚が飛び跳ねる頃。春先の氷を「薄氷」と呼ぶそうだ。

2.二十四節気「雨水(うすい)」
雨水(2月19日頃)
空から降るのが雪から雨に変わり、氷が溶けて水になるという意味。春一番が
吹くのもこの頃から。この里では、比良八荒と呼ばれる強風が琵琶湖に向って
吹き降ろし始める。
・土脉潤起(つちのしょううるおいおこる)2月18日頃
雪がしっとりとした春の雨にかわり、大地が潤い始める頃。「脉」は脈の俗字。
・霞始靆(かすみはじめてたなびく)2月23日頃
春霞がたなびき始める頃。春の霞んだ月を「朧月」(おぼろづき)と呼ぶ。
・草木萌動(そうもくめばえいずる)2月28日頃
寒さも和らぎ、日に日に暖かくなりはじめ草木が芽吹き始める頃(「草萌え」
(くさもえ)と言う)。長く寒い冬も終わり、いよいよ本格的に春がやってくる。
比良山もその白き衣を少しづつ脱ぎ捨て始める。

3.二十四節気「啓蟄(けいちつ)」
啓蟄(3月6日頃)
冬ごもりしていた虫が、地中からはい出る頃。
・蟄虫啓戸(すごもりのむしとをひらく)3月5日頃
戸を啓いて顔を出すかのように、冬ごもりをしていた生きものが姿を表す頃。
・桃始笑(ももはじめてさく)3月10日頃
桃の花が咲き始める頃。花が咲くことを「笑う」と表現、「山笑う」は春の季語。
・菜虫化蝶(なむしちょうとなる)3月15日頃
青虫が紋白蝶になる頃。「菜虫」は菜を食べる青虫のこと。菜の花が咲いて
まさに春本番。春山の明るい雰囲気をイメージさせてくれる。

4.二十四節気「春分(しゅんぶん)」
春分(3月21日頃)
太陽の中心が春分点に達し、全地球上の昼夜の長さがほぼ等しくなる日。
・雀始巣(すずめはじめてすくう)3月20日頃
雀が巣を作り始める頃。昼の時間が少しずつ伸び、多くの小鳥たちが繁殖期を迎える。
・桜始開(さくらはじめてひらく)3月25日頃
桜の花が咲き始める頃。桜前線の北上を日本中が待ち望む、お花見の季節の到来。
・雷乃発声(かみなりすなわちこえをはっす)3月30日頃
春の訪れを告げる雷が鳴り始める頃。「春雷」(しゅんらい)は「虫出しの雷」
とも呼ばれている。
琵琶湖も厚い冬着から春らしい着姿となり、灰色の湖面も涼やかな蒼さが増してくる。

5.二十四節気「清明(せいめい)」
清明(4月5日頃)
春のはじめの清らかで生き生きとした様子「清浄明潔」という語を略したもの。
・玄鳥至(つばめきたる)4月5日頃
燕が南の国から渡ってくる頃。「玄鳥」(げんちょう)とは燕の異名。
・鴻雁北(こうがんかえる)4月10日頃
雁が北へ帰っていく頃。雁は夏場をシベリアで、冬は日本で過ごす渡り鳥。
・虹始見(にじはじめてあらわる)4月15日頃
雨上がりに虹が見え始める頃。淡く消えやすい春の虹も次第にくっきりしてくる。
特に、比良山と琵琶湖の間をつなぐ大きな七色が見える頃でもある。

6.二十四節気「穀雨(こくう)」
穀雨(4月20日頃)
この時期に降る雨は「百穀春雨」、百穀を潤し芽を出させる春雨といわれている。
種まきなどを始めるのに適した時期として、農作業の目安になっている。
近くの田畑も黒く幾筋もの土お越しの畝があちらこちらで見られる。
・葭始生(あしはじめてしょうず)4月20日頃
水辺の葭が芽吹き始める頃。葭は夏に背を伸ばし、秋に黄金色の穂をなびかせます。
・霜止出苗(しもやみてなえいずる)4月25日頃
霜が降りなくなり、苗代で稲の苗が生長する頃。霜は作物の大敵とされています。
・牡丹華(ぼたんはなさく)4月30日頃
牡丹が大きな花を咲かせる頃。豪華で艶やかな牡丹は「百花の王」と呼ばれています。
牡丹は日本には遣唐使によってもたらされたともいわれ「富貴草」とも言われる。

守山地区では、
金毘羅神社の大祭
毎年3月10日に行われます。今から二百年前に守山の農家に金毘羅さんの
御神符が落ちてきて、その後海の守り神として祀ったといわれています。
数十年前までは大祭の日には村の辻辻に猿のぬいぐるみを吊るしたそうです。
比良地区では、
比良天満宮(北比良)と樹下神社(南比良)
国道161号線に面して建つ神社で境界もなく、参道が深い森の中へ導いていきます。
参道入口に樹齢300年の大きな神木・スジダイがあり、その左参道が樹下神社、
右の鳥居が天満宮です。境内に入ると二社の社殿がほぼ平行に並び建っています。
天満宮の祭礼は、北比良村が天満宮の御輿、南比良が十禅師社の御輿を担ぎ、神事の
執行は、両村の社役が交互で務めていました。しかし、この社役が着用する装束を
めぐり、相論が起こり、繰り返し起こり、二つの村が、一つの社を維持してゆくことは
困難として、明治5年(1872)に両社を分離し、それぞれの氏神とすることが
定められた。なお、比良天満宮の祭神は、菅原道真です。鳥居の前左右には、
天明4年(1784)建立の銘文が入った燈籠が建っていますし、樹木が囲む参道を進むと
「えま堂」や社務所、牛像に出合います。えま堂には神将形立像が安置されています。
例祭は4月25日小松地区の例祭と同時に行われ、一基の神輿は湖岸の御旅所へ
渡岸します。

南小松地区では、
八幡神社の祭礼
南小松の山手にあり、京都の石清水八幡宮と同じ時代に建てられたとされます。
木村新太郎氏の古文書によれば、六十三代天皇冷泉院の時代に当地の夜民牧右馬大師
と言うものが八幡宮の霊夢を見たとのこと。そのお告げでは「我、機縁によって
この地に棲まんと欲す」と語り、浜辺に珠を埋められる。大師が直ぐに目を覚まし
夢に出た浜辺に向うと大光が現れ、夢のとおり聖像があり、水中に飛び込み
引き上げ、この場所に祠を建てて祀ったのが始まりです。
春の祭礼(四月下旬)には、神輿をお旅所まで担ぎ、野村太鼓奉納や子供神輿
が出ます。また、この辺りは野村と呼ばれ、特に自家栽培のお茶が美味しいようです。
八朔祭(9月1日)が行われ、夜7時ごろからは奉納相撲が開催されます。
八幡神社の狛犬は、明治15年に雌(右)、明治 17 年に雄(左)(名工中野甚八作)
が作られ、県下では一番大きいといわれています。体長180センチ弱ですが、
左右違う、そのたてがみや大きな眼が印象的です。

北小松地区では、
樹下神社の例祭
創祀年代は不詳であるが、天元5年(982年)に佐々木成頼により日吉十禅師
(現日吉大社摂社樹下宮)を勧請したのに創まるとの伝えがあります。
明治3年(1870年)に十禅師社と称していた社号を、樹下神社に改めた。
境内社には、天滿宮、金比羅宮、大髭神社があります。
例祭は4月25日に行われます。

俳句 春
八講の比良山見ゆれ枯木原     青々
八講はすぎたしらせか鶴のこえ   楓下
春は京冬は残れリ比良の山     道加
八景は比良にかたまる桜かな    麦水
花野来て比良の横雲望みけり    華村

和歌 春
・桜さく比良の山風吹くままに
 花になりゆく志賀の浦なみ     御京極
・花さそうひらの山風ふきにけり
 こぎ行く船の跡見ゆるまで     宮内卿
・桜咲く比良の山風ふくなへに
 花のさざ波寄する水海       大納言定国
・さざ波の近江の海に船はてて
 比良の山桜ちるまで見む      荷田蒼生子

旬なものは?





二十四節気(にじゅうしせっき)は半月毎の季節の変化を示していますが、これをさら
に約5日おきに分けて、気象の動きや動植物の変化を知らせるのが七十二候(しちじゅ
うにこう)です。二十四節気と同じく古代中国で作られました。二十四節気が古代のも
のがそのまま使われているのに対し、七十二候は何度も変更されてきました。
日本でも、江戸時代に入って日本の気候風土に合うように改定され、「本朝七十二候」
が作られました。現在主に使われているのは、明治時代に改訂された「略本暦」のもの
です。
ちなみに「気候」ということばは、この「節気」と「候」からできています。
※二十四節気について詳しい説明はこちらをご覧ください。 → 二十四節気
七十二候の名称は、気候の変化や動植物の様子が短い文で表されています。私たちの暮
らしでは目にする機会の少ない事象もありますが、おおかたはその時期の「兆し」を伝
え、繊細な季節のうつろいを感じさせてくれます。

俳句 夏
十六夜の気色わけたり比良伊吹  
鳴神や幾度比良へ帰る雲     士朗
いかほども雲たくはへよ比良伊吹 千影
白雨や比良より雲の出来心    団室

和歌  夏
ほととぎす 三津の浜辺に 待つ声を 比良の高嶺に 鳴き過ぎべしや



山笑う
二十四節気「立春(りっしゅん)」

・東風解凍(はるかぜこおりをとく)2月4日頃
春の風が川や湖の氷を解かし始める頃。「東風」(こち)とは春風を表す代名詞。
→蕗のとう
・黄鴬?睆(うぐいすなく)2月9日頃
山里で鴬が鳴き始める頃。春の訪れを告げる鴬は「春告鳥」(はるつげどり)とも呼ば
れます。
→さやえんどう、梅
・魚上氷(うおこおりをいずる)2月14日頃
水がぬるみ、割れた氷の間から魚が飛び跳ねる頃。春先の氷を「薄氷」と呼びます。
→あまご、山女魚、岩魚。めじろ。明日葉。谷汲み踊り。

二十四節気「雨水(うすい)」

・土脉潤起(つちのしょううるおいおこる)2月18日頃
雪がしっとりとした春の雨にかわり、大地が潤い始める頃。「脉」は脈の俗字です。
→春キャベツ。
・霞始靆(かすみはじめてたなびく)2月23日頃
春霞がたなびき始める頃。春の霞んだ月を「朧月」(おぼろづき)と呼びます。
→辛子菜。
・草木萌動(そうもくめばえいずる)2月28日頃
草木が芽吹き始める頃。催花雨、草の芽が萌え出すことを「草萌え」(くさもえ)
とも言います。また、木々についても木の芽起こし、木の芽萌やしとも言います。
→緑繁縷(はこべ)、菜花。

二十四節気「啓蟄(けいちつ)」

・蟄虫啓戸(すごもりのむしとをひらく)3月5日頃
戸を啓いて顔を出すかのように、冬ごもりをしていた生きものが姿を表す頃。
→わらび、ぜんまい、菫(すみれ)。鰆。
・桃始笑(ももはじめてさく)3月10日頃
桃の花が咲き始める頃。花が咲くことを「笑う」と表現、「山笑う」は春の季語です。
→梅、桃、新たまねぎ。さより。
・菜虫化蝶(なむしちょうとかす)3月15日頃
青虫が紋白蝶になる頃。「菜虫」は菜を食べる青虫のこと。菜の花が咲いて
まさに春本番。
→かたばみ、葉わさび。やまとしじみ(小さな蝶)。

二十四節気「春分(しゅんぶん)」

・雀始巣(すずめはじめてすくう)3月20日頃
雀が巣を作り始める頃。昼の時間が少しずつ伸び、多くの小鳥たちが繁殖期を
迎えます。
→蕗、関東たんぽぽ。ひばり。
・桜始開(さくらはじめてひらく)3月25日頃
桜の花が咲き始める頃。桜前線の北上を日本中が待ち望む、お花見の季節の到来です。
→こぶし、アスパラガス。さくらえび。
・雷乃発声(かみなりすなわちこえをはっす)3月30日頃
春の訪れを告げる雷が鳴り始める頃。「春雷」(しゅんらい)は「虫出しの雷」とも呼
ばれています。
→うど、木蓮。真鯛。

二十四節気「清明(せいめい)」

・玄鳥至(つばめきたる)4月5日頃
燕が南の国から渡ってくる頃。「玄鳥」(げんちょう)とは燕の異名です。
→行者にんにく。初鰹。
・鴻雁北(こうがんきたへかえる)4月10日頃
雁が北へ帰っていく頃。雁は夏場をシベリアで、冬は日本で過ごす渡り鳥です。
→たらのめ(山菜)。ほたるいか。
・虹始見(にじはじめてあらわる)4月15日頃
雨上がりに虹が見え始める頃。淡く消えやすい春の虹も次第にくっきりしてきます。
→みつば、小楢(花が咲く頃)。雨前茶。

二十四節気「穀雨(こくう)」
瑞雨、甘雨、春琳、催花雨等春の雨には色々ある。
・葭始生(あしはじめてしょうず)4月20日頃
水辺の葭が芽吹き始める頃。葭は夏に背を伸ばし、秋に黄金色の穂をなびかせます。
→葦牙(あしかび)、新ごぼう。鯵。
・霜止出苗(しもやみてなえいずる)4月25日頃
霜が降りなくなり、苗代で稲の苗が生長する頃。霜は作物の大敵とされています。
→よもぎ。いとより。
・牡丹華(ぼたんはなさく)4月30日頃
牡丹が大きな花を咲かせる頃。豪華で艶やかな牡丹は「百花の王」と呼ばれています。
八十八夜。
→牡丹、こごみ。さざえ。

俳句 春
八講の比良山見ゆれ枯木原     青々
八講はすぎたしらせか鶴のこえ   楓下
春は京冬は残れリ比良の山     道加
八景は比良にかたまる桜かな    麦水
花野来て比良の横雲望みけり    華村

和歌 春
・桜さく比良の山風吹くままに
 花になりゆく志賀の浦なみ     御京極
・花さそうひらの山風ふきにけり
 こぎ行く船の跡見ゆるまで     宮内卿
・桜咲く比良の山風ふくなへに
 花のさざ波寄する水海       大納言定国
・さざ波の近江の海に船はてて
 比良の山桜ちるまで見む      荷田蒼生子

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