2016年1月30日土曜日

旬なものから琵琶湖八珍

旬のもの
・もろこ 早春に取れる体長10センチほどの子持ちモロコは最も味がよい。
・手長海老 9月から11月頃に琵琶湖で取れる手長海老とのかき揚げは美味しい。
・竹の子ご飯 4月から5月にかけて取れる新芽の竹の子のご飯は美味しい。
・わけぎ  別名3月ものといわれ、ねぎより細く柔らかでぬめりが少ないので
      扱いやすい食材です。
・イタドリ 4月末から5月初めにかけて取れるイタドリは皮をはぎ、節の部分を
      つぶして加工すると美味しい。
・ハス   琵琶湖原産の魚であるが、味噌炊きや煮つけにして夏の食材として使う。
・ごり   夏にごり汁や佃煮にすると美味しい。
・小あゆ  5月から川を遡上する鮎はてんぷらなどで食べると美味しい。
・干しズイキ 里芋の茎を天日干ししたもの。
・あめうお  ビワマスが10月ごろ、産卵のため川を遡上する時は、体の色が変わり
       これを「あおうめ」と読んでいます。
・むかご  やまいもの葉の付け根にできる珠芽です。秋の季節にはむかごご飯として
      食べます。
・いさざ煮  イサザは体長5センチほどの小魚。冬の季節、てんぷら、すき焼きなど
に
       食材として使われます。
・氷魚    鮎の幼魚ですが、細く白く味も淡白であっさりとしています。
・クレソン  クレソンは繁殖生があり、冬でもあり、これと鴨のクレソン鍋は美味し
い。



琵琶湖八珍
琵琶湖にはこの豊かな湖の魚を扱った特有の食文化がある。
琵琶湖にいる約80種の魚が生息していると言う。その湖魚のブランド
「琵琶湖八珍」に、ビワマス、コアユ、ニゴロブナなど8種の魚介類が選ばれた。
ほかにハス、ホンモロコ、イサザ、ビワヨシノボリ、スジエビが入った。
選ばれた8種のうち5種が琵琶湖固有種で料亭から家庭料理まで広く親しまれている。
なお、人気投票で上位だったウナギ、アユ(大アユ)、シジミなどは供給量や独自性
などの観点から外されたとのこと。
この志賀周辺でも和邇や北小松、さらに堅田の港では、数が少なくなったものの、
これら八珍のいくつかを今でも獲っているので、湖魚の専門店もあり、様々な
料理でそれを味わう事が出来る。
また、琵琶湖八珍の中で、「コアユ」「イサザ」「ビワヨシノボリ」「ハス」
「スジエビ」などは、佃煮(甘露煮)などとして、全国に流通している。
「鮒鮨」の材料としての「ニゴロブナ」は加工品としても有名でもある。
「ニゴロブナ」や「ビワマス」に「ホンモロコ」は、滋賀県に住んでいても
滅多に口に入らない高級魚になっています。
こうした地域の魚料理を定めたものに、「宍道湖七珍」があり有名であり、島根県
が宍道湖(しんじこ)の魚の「宍道湖七珍」が選定された。現在の七珍は
「スズキ」「モロゲエビ」「ヨシエビ」「シラウオ」「コイ」「シジミ」である。
しかし、「ニゴロブナ」、「ビワマス」、「ホンモロコ」は、中々に口に入らない
高級魚になっている。

少しこれらを紹介すると、
1)「ニゴロブナ」は鮒鮨(ふなずし)に使われるが、近年は産卵場所の減少や
ブラックバスやブルーギルなど外来魚の食害によって稚魚が食べられ漁獲高
は激減している。
鮒鮨はなれずし(現在のお寿司の元)であり、その匂いで受けつけにくい。
現に滋賀県に来て求めたものを、途中駅で開けて「腐っている」と捨てられた
という、笑えない話がある。
食べ慣れれば、日本酒にこれだけ合う肴はないと思うほど、深みのある味をして
いるが、贈答用だと30cmほどの子持ちで1万円ほどと結構高い。

2)「ビワマス」は「ヤマメ」の陸封タイプで、海に出ると「サクラマス」になる。
成魚になると70cm以上になり、その刺身はトロのように舌に絡まる味わいがある。
今が最盛期であるが、「ニゴロブナ」と同じく、中々漁で確保するのは、難しく
養殖されたものが主流となっている。今日はあるところで久しぶりにビワマス
を食した。刺身は相変わらず美味しかったが、燻製風にするとまた違う味
になると言う。

3)「ホンモロコ」は京料理に用いられる高級魚になっており、琵琶湖の貴婦人
の名に恥じことなく、その白焼きは絶品と評判である。
昔は、バケツにいっぱい釣れていたが、外来魚の食害のため最盛期の1/10以下
になっているとのこと。

4)「いさざ」。これは少し詳しく書こう。
イサザは、琵琶湖固有のハゼの一種で、昔からなぜか獲れなくなる時期が
あることから、漢字も「魚」偏に「少」と書いて「いさざ」と読ませている。
佃煮の他「じゅんじゅん」という鍋で食べられることが多く、白身でありながら
濃い味付けに負けない独特の風味があり、湖魚のなかでもファンが多数いる。
主な漁場は、琵琶湖でも水深が深い湖北が中心であり、長浜市にある尾上(おのえ)
漁港、竹生島(ちくぶしま)や琵琶湖の最北端に突き出た葛籠尾(つづらお)
半島が間近に迫る風光明媚な港で結構獲れる。
琵琶湖は、竹生島の南あたりで深くなっていますが、イサザの漁場もそのあたり。漁港
から船で5分ほど走ったところ、葛籠尾半島の先端である葛籠尾崎のすぐ近くにある。
イサザ漁は、主に冬季に沖(ちゅう)びき網で行われる。これは、長いロープの先端
に取り付けた網で底を引きずり、イカリで固定した船へ巻き上げるという、底びき網の
一種。湖底から獲られたイサザは、水面に出ると水圧の関係で、お腹を上にした状態で
浮き上がってくるので、それをすばやく網ですくいとる。
イサザ漁は、朝の6時頃に港を出発するが、最近はイサザも少なく、2回操業程度。
「昔は1回で50~60kgは獲れたが、概ね12~3kgぐらい」。
一時はまるでとれなかった時期があり、「幻の魚」といわれていたほどであり、
ここ数年で少し漁獲が盛り返してきましたが、最盛期にはまだまだ及ばない。
湖北名物、イサザの「じゅんじゅん」
イサザは、大豆と煮た「イサザ豆」や佃煮のほか、湖北地域では、すき焼き風に煮た
「じゅんじゅん」という料理でよく食べられる。「ネギと油あげ、麩を入れ、醤油と
砂糖で甘辛く煮る」のもよい。「イサザは、白身の淡泊な味でおいしく、特に秋から
1月頃のものは、骨も柔らかくておいしい」と言われている。

5)氷魚(ひうお)
冬だけにとれる特産品であり、氷魚(ひうお)と言われる鮎の稚魚で、大きさは
3~6cmくらい。体が氷のように透き通っているため、「氷魚」と呼ばれている。
氷魚は、釜揚げにするのが一般的。「しらす」のように熱を加えると白くなり、
身はしっとりしていて、舌触りは滑らか。そこはかとなく鮎とわかる繊細な味わいは、
琵琶湖の冬の味覚として愛されている。釜揚げのほかにも、かき揚げや佃煮など
でも食されている。
氷魚が主に水揚げされるのは、12月から3月頃まで。透き通っている氷魚は、
やがてウロコができ、体型も変化し、5月頃には小鮎(コアユ)と呼ばれる
ようになる。以前に近くの和邇漁港に行った時は、料理店などの専門業者に交じり、
近所の主婦数人が氷魚漁から帰る船を待ちわびている。自宅で釜揚げにするの
だそうだ。湖近くに住む人だけの贅沢な楽しみであろう。
漁船が帰港し、甲板に設けられた水槽の中には透明な氷魚が元気に泳いでいる。
すぐに漁港でハカリにかけられ、次から次へ、キロ単位でまたたくまに引き取ら
れていく。「3月のいまの時期は例年通りの漁獲量だが、今年の1月と2月は氷魚
は不漁だった。天候が悪く、船の出る日数が少なかった。でも、30年くらい前
とは比べ物にならないそうだ。当時は、船いっぱいにとれた」と言う。


郷土料理としての存在
琵琶湖には、このように素晴らしい湖魚に対する食文化があり、これを支える食材
としての魚が生息している。まさに琵琶湖にしかない独特の食文化でもある。
全国、画一的な食文化と冷凍品による土地固有の味わい文化の衰退が進んでいる中、
その土地にしかない、しかも、その土地に行かなければ味わえない食べ物など、
稀な存在である。琵琶湖の湖性が生み出した、食文化の発信は、湖の湖と共に生きる
誇りを、外向けには琵琶湖に対するあこがれを醸しだすことになる。
更には、地域の野菜とのコラボレーションも郷土料理として多い。
琵琶湖では、畑の産物と琵琶湖の産物を併せた料理が多数伝えられている。
よくあるのが、スジエビと大豆を甘辛く煮き合わせた「エビ豆」であろう。
この他に、大豆と魚を炊き合わせた料理には「イサザ豆」「ウロリ豆」「ヒウオ豆」
等が広く食されている。米どころ近江では、水田の畔に豆を植えることが広く
行われていた。「**豆」は、この豆と、琵琶湖の魚が合わさり生まれた料理
なのだろう。
この食文化は、琵琶湖の漁師の多くが農業にたずさわり、農民が漁業を行うという
伝統に根ざしている。更には、野菜との組み合わせでは、「ジュンジュン」と称される
料理が広く食されている。「ジュンジュン」とは「すき焼き」のことである。
「牛のジュンジュン」は無論「カシワのジュンジュン」のような肉類の他に、ウナギ、
イサザ、ナマズ、コイ等々、多くの湖魚がジュンジュンとして食され、多量の野菜
と共に煮込まれる。
また他の地域に比して、琵琶湖では、コアユの仔魚である「ヒウオ」、「ビワ
ヨシノボリ」の仔魚である「ウロリ」、ハスの稚魚である「ハスゴ」等が盛んに
捕られ消費される。
さらに、イサザ、スゴモロコ、コアユのような小型の魚も盛んに漁獲され利用
されている。このような小型の魚を集中的に利用する食文化も、琵琶湖の特徴で
あろうし、伝統的な調理技術に「ナレズシ」がある。塩漬けした魚を御飯に合わせて
乳酸発酵させた食品で、現在の日本人が愛してやまない「スシ」の原型の食である。
そしてその代表がフナズシである。 
以上のように、
琵琶湖には、実に多様な湖魚に対する食文化が生まれ、継承され、商品として売られ
たり、一般家庭の郷土料理として生きている。
しかし、「琵琶湖の魚が泳いでいる水は、我々近畿圏の多くの人たちが飲んでいる水
である」という事実であり、魚が気持ちよく育つ琵琶湖であり続けることが重要
となる。琵琶湖八珍はそれを知ってもらう一つの手段でもある。



琵琶湖八珍のロゴマークは、8つの食材を8つの円形で表現。円は大切な宝を意味する「玉」でもあり、ご馳走をのせる「皿」も想起させます。
全体は末広がりの「八」の形。8つの食材が、それぞれ支え合いながら、共に高みを目指す姿をイメージしています。
上部には金色の輝きを配し、ブランドのステイタスを表現しています。

8つの魅力

  • ビワマス
    ビワマスサケ科
    旬:夏
    琵琶湖の固有種。体長は30~60cm、体重は300g~2kg。 琵琶湖に注ぐ河川で産卵・ふ化した後、稚魚は琵琶湖へ下って成長し、およそ2~3年で成魚となると、再び生まれた川へ戻って産卵します。琵琶湖沖合の深みに生息し、コアユやエビ類を食べています。コアユを多く食べる個体の身は脂が乗って色が薄くなり、エビ類を多く食べているものは朱色が濃くなります。主な漁期は6月~9月で、この頃に脂が乗って旬を迎えます。
  • ニゴロブナ
    ニゴロブナコイ科
    旬:冬・春
    琵琶湖の固有種。体長20~40cm、体重200~500g。 発酵食品である「ふなずし」の原料として利用されています。「ふなずし」の材料としては、卵を抱えたメスが重宝されていますが、オスの身は旨味が多く、刺身や煮付けに向いています。一時期は漁獲量が激減していましたが、稚魚の放流事業などにより資源そのものの量は増加の兆しが見えてきています。
  • ホンモロコ
    ホンモロココイ科
    旬:秋・冬・春
    琵琶湖の固有種。体長7~15cm、体重4~20g コイ科の魚類では最もおいしいと言われ、特に春先に獲れるホンモロコは子持ちであるため、高い人気を誇ります。一方、夏から秋頃の時期には、沿岸から沖合へ向かって移動するホンモロコが刺網などで漁獲されます。この秋に獲れるホンモロコは非常に脂が多く乗っており、七輪などで焼くと滴る脂に火が付くほどです。
  • イサザ
    イサザハゼ科
    旬:冬・春
    琵琶湖の固有種。体長3~8cm、体重1~4g。 琵琶湖北部の沖合に生息するハゼの仲間です。非常に出汁がでる魚で、濃い味付けにも負けない強い旨味が特徴です。大型のものは頭の骨が硬い場合がありますが、揚げ物などに調理すると骨を気にせず食べることができます。資源量の年変動が大きく、多く獲れる年と非常に少ない年があります。
  • ゴリ
    ゴリ(ウロリ・ヨシノボリ)ハゼ科
    旬:夏
    体長1~3cm、体重1g以下。 琵琶湖では夏に沖曳網(底曳網)でシラス様の稚魚が漁獲されます。この稚魚は、一般に河川で獲れるゴリとは別に扱われています。しょう油と砂糖で甘辛く炊いた佃煮がポピュラーですが、獲れて直ぐのものを釜揚げにするとほんのりとした甘みが楽しめます。
  • コアユ
    コアユアユ科
    旬:冬・春・夏
    体長10cm前後で体重はおよそ5~20g。 琵琶湖のコアユは、春に成長の良いものが河川へ遡上しますが、大部分の個体は琵琶湖で成長し、小型のまま成魚となります。海産のアユに比べて鱗が細かく滑らかで、口当たりが良いと言われています。冬季に獲れる稚魚は、ウロコが生えそろわず透き通った体をしているため氷魚(ひうお)と呼ばれています。冬の僅かな時期にしか獲れない氷魚をさっと塩ゆでにした釜揚げは、琵琶湖ならではの贅沢な味覚です。
  • スジエビ
    スジエビテナガエビ科
    旬:秋・冬・春
    体長2~4cm、体重1~2g。 主に琵琶湖北部の沖合で沖曳網(底曳網)によって漁獲されます。夏に沖曳網が禁漁となる時期には、「エビタツベ」と言われるカゴで漁獲することもあります。生きている時は透き通った飴色をしていますが、熱を加えて調理するとエビらしい赤色になります。まれに体の表面に3mm程度の甲殻類(エビノコバン)が付着していることがありますが、流水で強く洗うかボイルすると容易に取り除くことができます。
  • ハス
    ハスコイ科
    旬:(小型)冬・春 (大型)春・夏
    体長10~30cm、体重5~500g。 体長10cm程度の小型のものはハスゴと呼ばれています。コイ科の中では珍しく魚食性の強い性質を持ち、琵琶湖では主にコアユを捕食しています。小型のものと大型のものでは獲れる時期が異なります。湖東地域では夏に獲れる大型のハスを塩焼きにしたものが好まれています。

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